目録システムコーディングマニュアル(CAT2020対応版)


[目次]
[前ページ]4.2 記述ブロック
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4.2.1 TR

4.2.1A 〔形式〕

TR 入力レベル 属性 フィールド長 繰り返し数
(Group Field)
タイトル及び責任表示に関する事項
必須1 可変長    1
   タイトル、責任表示    (可変長) (1024バイト) (1)
 本タイトル (必須1) (無*)
 タイトル関連情報 (必須2) (有)
 並列タイトル (必須2**) (有)
 並列タイトル関連情報 (選択) (有)
 責任表示 (必須2) (有)
 並列責任表示 (選択) (有)
タイトルのヨミ***    (可変長) (1024バイト) (1)
 本タイトルのヨミ (必須2) (無*)
 タイトル関連情報のヨミ (必須2) (有)
 並列タイトルのヨミ (選択) (有)
 並列タイトル関連情報のヨミ (選択) (有)
タイトルのその他のヨミ*** (選択) (可変長) (1024バイト)   (2)

 *総合タイトルがない場合、個々の著作タイトルを繰り返して記録する。
 **並列タイトルの入力レベルは、和図書書誌データにおいては「選択」であるが、洋図書書誌データにおいては「必須2」である。
 ***ヨミは、タイトル中に日本語が現れた場合などに記録する。

4.2.1B 〔記述文法〕

記述文法については、「付録6.1 図書書誌データの記述文法」を参照のこと。

4.2.1C 〔AACR2の区切り記号の採否〕

 AACR2の1.1A1(区切り記号法)及び2.1A1(区切り記号法)の採否については、次のとおりとする。なお、各項の番号(1,2,3など)はAACR2の1.1A1と2.1A1の各段落に対応し、番号に続く丸括弧内に各段落で規定する区切り記号の内容の要約を示す。

 また、日本語版刊行の後に、1.1A1第9段落として次の規定が追加改訂された。この規則は、参照先を限定して採用する。

 AACR2 1988 Revision 1. 1A1第9段落
  並列表示の前に置く等号の使用については、以下の該当する規則を参照せよ。

 これに該当する規則は、1.1E5第2段落、1.1F11第2段落である。これらは1.1A1第9段落に合わせて、並列表示は等号に続いて記録するよう修正された。このうち、1.1E5第2段落は採用しない。

4.2.1D 〔フィールド内容とデータ要素〕

 TRフィールドには、目録対象資料の本タイトル、タイトル関連情報、及び責任表示をフィールド中のデータ要素として記録する。
 それぞれの書誌要素に対応する並列書誌要素は単数ないしは複数存在することがある。
 タイトル関連情報は単数ないしは複数存在することがある。
 責任表示は単数ないしは複数存在することがある。

4.2.1E 〔データ要素の情報源〕

E1

 TRフィールドのデータ要素の情報源は、タイトルページとする。規定の情報源以外から得た情報は、角括弧([ ])に入れて記録する。(→ AACR2 2.0B2 (規定の情報源))
 規定の情報源中に別の形のタイトルが表示されているときは、それに適切なコードを付けて、VTフィールドに記録する。

E2

 東洋の非ローマ字の刊行物について、特定の条件の下では奥付を主情報源として使用する。このことに関わるAACR2の規則は、以下のとおり改訂された。

 AACR2 1988 Revision 2.0B1第2段落
 東洋の非ローマ字の刊行物で、奥付に十分な書誌情報が含まれ、かつ、以下の条件のいずれかにあてはまる場合には、奥付を主情報源として用いる。
   a) タイトルページの場所にあるページには、本タイトルしかない
又は b) タイトルページには、装飾字体による本タイトルしかない
又は c) タイトルページには、西欧言語によるタイトル及びその他の書誌情報しかない

E3

 タイトルページがない場合の情報源等については、タイトルページの代替として利用できるものを情報源とする。(→AACR2 2.0B1 (主情報源))
 この場合、その情報源をNOTEフィールドに注記する。(→ 4.2.7 NOTE)
 (→ AACR2 2.7B3)
 なお、日本語版刊行の後に改訂されたAACR2では、タイトルページの代替として列挙されたものから、ハーフタイトルページ(halftitlepage)という語句が削除された。(→ AACR2 2.0B1 (主情報源))

4.2.1F〔データ記入及び記入例〕

F1(本タイトル)

 本タイトルとなるものは、「目録情報の基準 第5版」で規定されている「固有のタイトル」である。
 本タイトルの記録に際しては、次のF1.1~F1.5に示す例外を除き、AACR2の規則1.1B及び2.1Bに準拠する。

F1.1

 目録システムにおいては、ダッシュを記録するときには代わりにハイフン2つ(--)を使用する。(→ 1.1.3 記号の表記法(2))(→AACR2 1.1B1 第3段落、及び2.1B1例示の11番目)

TR:If elected--
   (情報源では次のようになっている:If elected...)

F1.2

 本タイトルが長い場合でも、システム上の不都合(フィールド長不足等)が生じない限りは、原則として本タイトルの短縮は行わない。やむを得ず短縮を行う場合は、その部分を省略符号で示し、短縮した内容をNOTEフィールドに記録する。(→ AACR2 1.1B4)

F1.3

 主たる情報源以外から本タイトルを補記する場合は、その情報源又は参考資料等についての注記をNOTEフィールドに必ず記録する。

TR:[Banquet des travailleurs socialistes] compte-rendu

NOTE:Title given according to the Catalogue de l'histoire de France. IV. 160

F1.4

 ある資料の補遺や一部分であることを示す表示については、「目録情報の基準 第5版」で規定されている図書書誌データの作成単位によって判断する。(→「目録情報の基準 第5版」4.2.2)(→ AACR2 1.1B9、及び2.1B1例示の14番目と16番目)

 そのような資料であることを示す表示が、「巻次等」あるいは「部編名」である場合は、その本体に相当する書誌データのVOLフィールドにそれを記録する。(→ 4.1.11 VOL)

VOL:pt. 1
TR:Faust / Johann Wolfgang Goethe

F1.5

 総合タイトルと個々の著作のタイトルの双方がタイトルページに表示されている場合にどちらを本タイトルとするかは、「目録情報の基準 第5版」で規定されている図書書誌データの作成単位によって判断する。(→「目録情報の基準 第5版」4.2.2)

 これに関わるAACR2の2.1B2は、日本語版刊行の後の改訂によって削除されたが、その内容は改訂後の1.1B10に盛り込まれた。

 AACR2 rev.ed. 1982 1.1B10
 主情報源に総合タイトルと個々の著作のタイトルの双方がある場合には、総合タイトルを本タイトルとして記録し、個々の著作のタイトルは内容注記に記録する(1.7B18を見よ)。
 (例示省略)

 このとき、総合タイトルが集合書誌単位の本タイトル(又は中位の書誌単位のタイトル)に該当しなければ、AACR2の1.1B10の指示に従い、総合タイトルを本タイトルとしてTRフィールドに記録し、個々の著作のタイトルはCWフィールドに記録する。(→ 4.2.6 CW)

TR:Œuvres de Dante Alighieri
CW:La divine comédie / traduction de A. Brizeux
CW:La vie nouvelle / traduction de E.-J. Delécluze

 一方、総合タイトルが集合書誌単位の本タイトル(又は中位の書誌単位のタイトル)に該当する場合は、AACR2の1.1B10の指示によらずに、総合タイトルを親書誌のタイトルとしてPTBLフィールドに記録し、個々の著作のタイトルを本タイトルとしてTRフィールドに記録する。(→ 4.3.1 PTBL)

TR:Impacts on nutrition and health / volume editor, Artemis P. Simopoulos
PTBL:World review of nutrition and dietetics < > v. 65//a

F2 一般資料表示

 資料種別はコード化してGMDフィールド並びにSMDフィールドに記録する。(→ AACR2 1.1C、及び2.1Cの任意規定)

F3 並列タイトル

 並列タイトルの記録に際しては、以下のF3.1~F3.4に示す例外を除き、AACR2の規則1.1D及び2.1Dに準拠する。

F3.1

 AACR2の1.1D2によって第2レベルの記述を作成する場合は日本語を優先する。すなわち、最初の並列タイトルを記録した後に、2番目以降の日本語で書かれた並列タイトルがあるときには、それも記録する。

TR:Poupées japonaises = Dolls of Japan = 日本人形||Poupées japonaises = Dolls of Japan = ニホン ニンギョウ

 これに関わるAACR2の規則1.1D2は、日本語版刊行の後に次のとおり改訂された。

 AACR2 1988 Revision 1.1D2第1段落
 第2レベルの記述(1.0D2を見よ)を作成する場合は、最初の並列タイトルを記載する。2番目以降の英語で書かれた並列タイトルはそれも記載する。
 (例示省略)
 第2レベルの記述において、次の条件、すなわち  のすべてに該当する場合、2番目の並列タイトルとして(この優先順位で)フランス語、ドイツ語、スペイン語、ラテン語、その他のローマ字の言語によるタイトルを記載する。

 なお、参照データセットからの流用入力によってデータを作成する場合に、2番目以降の英語で書かれた並列タイトルが記載されていても、それを削除する必要はない。日本語の並列タイトルはこの前に挿入して記録する。

F3.2

 主情報源に表示されている原タイトルは、AACR2の1.1D3の指示によって記録する。ただし、第4文の指示については、記録先はNOTEフィールドではなく、VTフィールドに原書名コードORを付して記録する。(→ 4.2.5 VT)

F3.3

 主情報源以外の個所に表示されている並列タイトルは、表示されていた箇所を示すコードを付してVTフィールドに記録する。

F3.4

 並列タイトルに日本語のタイトルが含まれている場合は、その語句のヨミによる検索が可能となるように、そのヨミを和図書書誌データの作成に関する規定に従って記録する。 (→ 2.2.1 F4)

F4 タイトル関連情報

 タイトル関連情報の記録に際しては、AACR2の規則1.1E及び2.1Eに準拠する。
 ただし、長いタイトル関連情報の省略又は短縮については、そのタイトル関連情報を索引語とする必要があるかどうかにより、採否を判断する。索引語とする必要がある場合は、表示のままTRフィールドに記録する。(→ AACR2 1.1E3)

 なお、AACR2の1.1E5第2段落のタイトル関連情報のみの並列の記録に関する任意規定は、日本語版刊行の後に改訂され、これを記録するときには等号に続けて記録する旨の指示が追加されているが、この任意規定は採用しない。

F5 (責任表示)

 責任表示の記録に際しては、次のF5.1~F5.2に示す例外を除き、AACR2の規則1.1F及び2.1Fに準拠する。

F5.1

 AACR2の1.1F10と1.1F11とは、日本語版刊行の後に改訂され、1.1F10として同一内容のまま統合された。1.1F11として新たに次の規則が追加された。

 AACR2 1988 Revision 1.1F11
 並列タイトルがなく、責任表示が2以上の言語や文字で表示されている場合は、本タイトルと同じ言語や文字による表示を転記する。この基準を適用できない場合は、最初に書かれている表示を転記する。
 (例示省略)
 任意に、各並列表示を、それぞれ等号に続けて転記してもよい。
 (例示省略)

 この第2段落の任意規定は、「それぞれ等号に続けて」を「それぞれスペース、イコール、スペース、スラッシュ、スペース(△=△/△)に続けて」に修正して適用する。

TR:Biblioteca Celtica : a register of publications relating to Wales and the Celtic  peoples and languages
 / Llyfrgell Genedlaethol Cymru = / The National Library of Wales

F5.2

 責任表示における肩書などの省略は、個人名だけでなく責任表示一般に適用する。このことに関わるAACR2の規則は、次のとおり改訂された。

 AACR2 1988 Revision 1.1F7
 貴族の称号、敬称、尊称、区別的呼称を示す肩書とそれらの略語、団体のイニシアル、資格、設立の日付、標語などは、以下の場合には責任表示に収録する。
a) 文法的にこのようなデータが必要なとき
... / ... ; prólogo del Excmo. Sr.D. Manuel Fraga Iribarne
(b)~d)は改訂前と同文につき省略)
それ以外の場合、これらのデータはすべて責任表示から省略する。省略符号は使用しない。
... / by Harry Smith
(情報源では次のようになっている:by Dr. Harry Smith)
... / sponsored by the Library Association
(情報源では次のようになっている:sponsored by the Library Association (founded 1877)
... / by T.A. Rennard
(情報源では次のようになっている:by the late T.A. Rennard)

F6 (総合タイトルのない場合)

 総合タイトルのない場合の記録に際しては、AACR2の規則1.1G及び2.1Gに準拠する。
 なお、AACR2の1.1G2は、日本語版刊行の後に改訂され、1.1G2と1.1G3とに分割された。ただし、その内容は改訂前とほぼ変わりがない。この1.1G3は、区切り記号ピリオド、スペース、スペース(.△△)を、スペース、ピリオド、スペース(△.△)に修正して採用する。

TR:Henry Vincent, a biographical sketch / William Dorling . Life of Joseph Rayner
 Stephens

 元の1.1G3は削除されたが、その内容は1.1F8の指示により、依然として有効である。

4.2.1G (選択事項)

 並列責任表示を記録するかどうかは、各参加組織が選択できる。
 なお、各参加組織の判断の結果、当該フィールドにデータの記録があったりなかったりする場合が出てくるが、この場合のデータ要素の有無は新規書誌作成の根拠とはならない。(→ 0.4.1 図書書誌データ)

4.2.1H 《注意事項》

H1

 本タイトルのもとに記入される著作のタイトルの初語が冠詞である場合の次の語の頭文字の取扱いについて、大文字化するように定めた条項は日本語版刊行の後に削除された。このような本タイトルを記録する場合は、次の語の頭文字は現行の大文字使用法に沿って記録する。(→ 4.0 通則)(→ AACR2 付録A 大文字使用法 A4D)

H2

 例外として、マイクロ資料や西洋古典籍等、1書誌データに複数の出版物理単位を記述することが許容されている資料がある。(→ 4.0.3 出版物理単位)  この場合、データ要素の情報源は、該当する目録対象資料の最初に刊行された資料(又は入手可能なもののうちの最初に刊行された資料)の所定の情報源による。


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