目録システムコーディングマニュアル(NCR2018対応版)


[目次]
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2.2.2 ED

2.2.2A 〔形式〕

ED 入力レベル 属性 フィールド長 繰り返し数
版表示に関する事項 必須2 可変長 512バイト 1
   版次 (必須1)     (無)
版に関係する責任表示 (必須2)     (有)
並列版次 (選択)     (有)
版に関係する並列責任表示 (選択)     (有)
付加的版次 (必須2)     (有)
付加的版次に関係する責任表示 (選択)     (有)

2.2.2B 〔記述文法〕

記述文法については、「付録6.1 図書書誌データの記述文法」を参照のこと。

2.2.2C 〔区切り記号〕

ア)(最初の)版に関係する責任表示・版に関係する並列責任表示・付加的版に関係する責任表示の直前に、スペース、スラッシュ、スペース(△/△)を置く。
 ただし、版に関係する並列責任表示について、責任表示のみが並列する場合に限り、直前に、スペース、イコール、スペース、スラッシュ、スペース(△=△/△)を置く。
イ)2番目以降の各責任表示の直前に、スペース、セミコロン、スペース(△;△)を置く。
ウ)並列版次の直前に、スペース、イコール、スペース(△=△)を置く。
エ)付加的版次の直前に、コンマ、スペース(,△)を置く。

2.2.2D 〔フィールド内容とデータ要素〕

 EDフィールドには、目録対象資料の版次、版に関係する責任表示、並列版次、版に関係する並列責任表示、付加的版次、及び付加的版に関係する責任表示をデータ要素として記録する。
 版次は、当該資料がどのような版であるかを示すために記録する。ただし、装丁の相違のみを表す語句はこれに含めない。
 版に関係する責任表示とは、当該資料の1種類以上の版に対しては関係しているが、すべての版に対しては関係していないような責任表示をいう。
 並列版次とは、版次が2以上の言語又は2種類以上の文字で表示されている場合をいう。
 付加的版次とは、ある特定の版に対して変更が加えられ、再発行されたような場合に、その版に付加される版次をいう。

2.2.2E 〔データ要素の情報源〕

 EDフィールドのデータ要素の情報源は、次の優先順位で情報源を選定する。

a) 本タイトルと同一の情報源(→2.2.1E
b) 資料自体の他の情報源
c) 資料外の情報源
 ただし、並列版次・付加的版次については版次と同一の情報源を、各種責任表示については対応する版次と同一の情報源を、それぞれ第一の情報源として選定する。
 版に関係する並列責任表示について、対応する並列版次が存在しない場合は、版次と同一の情報源から採用する。

2.2.2F 〔データ記入及び記入例〕

F1 (データ記入の原則)

 漢数字、ローマ数字、語句で表記される数字等は、アラビア数字で記録する。

ED:第2版
(情報源の表示: 第二版)
ED:New ed
(情報源の表示: New ed.)
 ED:2nd edition
(情報源の表示: Second edition)

F2 版次及び版に関係する責任表示

F2.1(版次とするもの)

 版次は、記述対象が属する版を示す語、数字又はこれらの組み合わせである。
 版次には、通常、次の語、数字又はこれらの組み合わせが該当する。内容の変更を伴わない刷次と判断される場合は、版次として扱わない。

ア) 日本語
序数と「版」、又は他の版との内容の相違を示す「改訂」、「増補」、「新版」などの語を含むもの。
ED:改訂版 
ED:増補3版
イ) 外国語
「edition」、「issue」、「release」、「level」、「state」、「update」又はそれに相当する他の言語による語を含むもの。省略形の場合も含む。
ED:2. Ausgabe 
ED:Ver. 2.5
ウ) 内容の変更による相違
ED:データ更新版 
ED:Full version
内容の変更を伴う刷次は、版次として扱う。
ED:第2刷補訂
なお、特定の版に属する刷次の表示中に、改訂、増補などに相当する語がある場合は、これを付加的版次として扱う。

エ) 言語の相違
 
ED:中文版 
ED:English ed
オ) 内容と結びつく日付の相違

F2.2

 次の版次は記録しない。

ア) 初版
イ) 総合タイトルのない資料の個別の著作に関係する版次

F2.3

 情報源に数字及び(又は)文字のみが表示されている場合は、版であることが分かるように適切な語句を補記する。この場合、資料外から採用したことが分かるように角括弧を使用して記録する。

ED:2011 [版]
ED:Revised [edition]

F2.4

 版次などの全体又は一部が資料自体に表示されていなくても、他の版と重要な違いがあると知られていて、それが識別又はアクセスに重要な場合は、版表示として記録する。この場合、資料外から採用したことが分かるように角括弧を使用して記録し、必要に応じて注記する。
 版表示を優先情報源として選択可能な箇所以外から採用した場合についても、同様に角括弧を使用して記録する。

ED:[改訂版] 
ED:[1991] 増補新版 
ED:[2011年版]

F2.5

 情報源中に複数の版次が表示されている場合、適切なもののうち、より顕著に表示されている方を採用する。
 複数の版次が表示されている場合として、例えば次のようなものがある。

「改訂増補版」という版次と「第3版」という版次が、情報源に双方ともに表示されている。
 採用しなかったものは、必要に応じてNOTEフィールドに記録する。

 また、優先情報源として選定した箇所以外に、EDフィールドに記録したものと異なる版次が表示されている場合は、必要に応じてNOTEフィールドに記録することができる。

ED:第2版
NOTE:表紙には「2版」とあり
 (「第」という表示が付いていたりいなかったりする。)

F2.6

 内容の変更等を意味する版次でない場合でも、書誌的に特定の版を識別する版次(ただし、装丁に関するものは除く)は、EDフィールドに記録する。
 例えば、次のようなものがある。
 普及版、机上版、学生版、必携版、愛用版、愛蔵版、保存版、限定版、復刻版、私家版、贈呈版、簡約版、縮刷版、ワイド版、コンパクト版、謄写版

TR:日本外来語辞典 / 上田万年 [ほか] 共編||ニホン ガイライゴ ジテン
ED:復刻版

F2.7

 情報源に、版次が複数の言語又は文字種で表示されている場合は、本タイトルと同一の言語又は文字種によるものを記録する。本タイトルと同一の言語又は文字種による表示がない場合は、最初に表示されているものを記録する。

F2.8 (版に関係する責任表示)

 版に関係する責任表示は、責任表示のうちの特定の版に関係する表示である。
 その版のみに関わる、あるいは他の版にも関わるが全ての版には関わらない責任表示は、版次に続けて記録する。
 同じ役割の版に関係する責任表示を列記する場合は、コンマ、スペース(,△)でつないで記録し、役割の異なる版に関係する責任表示を列記する場合は、スペース、セミコロン、スペース(△;△)でつないで記録する。

 情報源に、版に関係する責任表示が複数の言語又は文字種で表示されている場合は、本タイトルと同一の言語又は文字種によるものを記録する。本タイトルと同一の言語又は文字種による表示がない場合は、最初に表示されているものを記録する。

 責任表示が、すべての版に関係しているか、一部の版にのみ関係しているか判断できない場合、又は版次の有無が判明しない場合は、本タイトルに関係する責任表示として扱う。
 また、記述対象が初版である場合は、すべての責任表示を本タイトルに関係する責任表示として扱う。

F3 並列版次及び版に関係する並列責任表示

F3.1(版次が2種以上の言語又は文字で表示されている場合)

 本タイトルと同一の言語又は文字種による版次を記録した後(→F2.7)、スペース、イコール、スペース (△=△) に続けて、並列版次を情報源での表示順序、配置、デザイン等に基づいた順に記録する。

ED:2nd edition = 2. Auflage
(情報源の表示:Second edition、Zweite Auflage)

F3.2(版次が2種以上の言語又は文字で表示されているが、版に関係する責任表示が1種の言語又は文字でのみ表示されている場合)

 すべての並列版次を記録した後に、スペース、スラッシュ、スペース(△/△)に続けて、版に関係する責任表示を記録する。

ED:3rd edition = 3. upplagan / B. Larsen
(情報源の表示:Third edition、Tredje upplagan)

F3.3(版次、版に関係する責任表示がともに2種以上の言語又は文字で表示されている場合)

 それぞれの言語又は文字ごとに、版次に続けて、その版次と同一の言語又は文字で表示されている責任表示を記録する。

ED:2nd edition / edited by Larry Lewis = 2. Auflage / herausgegeben von Larry Lewis
(情報源の表示:2nd edition、2. Auflage)
 版に関係する並列責任表示が複数ある場合は、対応する並列版次と同じ順に記録する。

F3.4(版次は1種の言語又は文字で表示されているが、版に関係する責任表示は2種以上の言語又は文字で表示されている場合)

 本タイトルと同一の言語又は文字で表示されている責任表示を記録する。この規定があてはまらない場合は、最初に表示されている責任表示を記録する。

ED:2. oplag / reviderade og udvidet af David Hohnen
(情報源の表示:Andet oplag)
 また、版次と版に関係する責任表示の後に、スペース、イコール、スペース、スラッシュ、スペース(△=△/△)に続けて、情報源に表示されている順に、版に関係する並列責任表示を記録することができる。
ED:2. oplag / reviderade og udvidet af David Hohnen = / revised and enlarged by David Hohnen

F4 付加的版次及び付加的版に関係する責任表示

F4.1(ある特定の版に対して変更が加えられ、再発行されたような場合)

 コンマ、スペース(,△)に続けてその改訂事項を記録する。

ED:第5版, 机上版
ED:2nd edition, 3rd corrected impression
(情報源の表示:2nd edition, 3rd corrected impression)
 再発行されても従前の版から変更が加えられていない場合に、識別又はアクセスに重要でないときは、付加的版次として扱わない。

 日本語で表示されている場合は、「改訂」、「増補」等の表示のある刷次をも含む。

F4.2 (版次だけでなく付加的版次も2種以上の言語又は文字で表示されている場合)

 それを含めて並列版次として記録する。

ED:2nd edition, 3rd corrected impression = 2. Auflage, 3. korrigierter Neudruck
(情報源の表示:2nd edition, 3rd corrected impression、2. Auflage, 3. korrigierter Neudruck)

F4.3(1つ又はそれ以上の付加的版(ただし、すべての付加的版ではない)に関係する責任表示)

 付加的版次に続けて記録する。

ED:Revised edition / with revisions, an introduction, and a chapter on writing by E.B. White, 2nd edition / with the assistance of Eleanor Gould Packard
(情報源の表示:Revised edition、2nd edition)

F4.4(付加的版次を伴う版次は2種以上の言語又は文字で表示されているが、版に関係する責任表示は1種の言語又は文字のみで表示されている場合)

 すべての並列版次を記録した後に、スペース、スラッシュ、スペース(△/△)に続けて、版に関係する責任表示を記録する。

ED:4th edition, corrected = 4. Auflage, korrigiert / G.A. Phelan
(情報源の表示:Fourth edition, corrected、Vierte Auflage, korrigiert )

F4.5(版次、付加的版次、版に関係する責任表示がともに2種以上の言語又は文字で表示されている場合)

 それぞれの言語又は文字ごとに、版次に続けて、その版次と同一の言語又は文字で表示されている付加的版次及び版に関係する責任表示を記録する。

ED:2nd edition, 3rd revision / by N. Schmidt = 2. upplagan, 3. utgåva / af N. Schmidt
(情報源の表示:Second edition, third revision、Andra upplagan, tredje utgåva)
 付加的版次に関係する並列責任表示が複数ある場合は、対応する付加的並列版次と同じ順に記録する。

2.2.2G《注意事項》

G1

 規定の情報源上の表示を版次であると判断してよいかどうかは慎重に検討しなければならない。
 既存の書誌データ(総合目録データベース中、参照データセット中を問わず)に記録されている情報(特に大きさ、ページ数等)と、これから登録しようとしている目録対象資料とで、データに不整合が見られないかどうかを判断する必要がある。
 この結果、版次の表示があっても、それが単に「刷」を意味するようなものであるならば、その情報はEDフィールドに記録してはならない。
 一方、「刷」と表示されていても、内容的に変更があったことが他の情報源、あるいは本文中等から容易に判明するならば、その「刷」の情報をEDフィールドに記録することができる。
 その場合は、記録の根拠をNOTEフィールドに記録する。ただし、その他の情報により明らかな場合は記録する必要はない。

G2

 逐次に刊行されるものの表示(「年版」など)は、版として記録せず、VOLフィールドに記録する。(→ 2.1.11 VOL)

G3

 装丁に関する版次はEDフィールドではなく、VOLフィールドに記録する。したがって、NCR2018 #2.3.1.1.1 g) の「新装版」「豪華版」は、EDフィールドではなくVOLフィー ルドに記録する。
 この他に、次のような装丁に関する表示も、版次とはしない。

革装版、並装版、改装版、特装版、和装版
paperback edition, Library binding edition

G4

 複数の出版地を持つ1つの出版者の出版物に表示されている、American edition, International edition等の表示についても、出版事項、形態に関する事項、ISBNその他の情報を考え合わせて、版次とみなすべきか、あるいはISBNの説明語句等とみなしてVOLフィールドに記録すべきかを判断する必要がある。

G5

 翻訳の底本の版表示は、記録してはならない。その情報は必要ならば、NOTEフィールドに記録する。

G6

 例外として、マイクロ資料や西洋古典籍等、1書誌データに複数の出版物理単位を記述することが許容されている資料がある。(→2.0.3 出版物理単位) このような資料においては、版表示に変化、追加又は削除が生じることがある。

 版表示に対象範囲や主題が変わったことを示す変化がある場合は、別の資料とみなして新規の書誌データを作成する。
 それ以外の場合、識別又はアクセスに重要なときは、出版物理単位による版表示の違いを注記として記録する。

〔関連項目〕


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