目録システムコーディングマニュアル(CAT2020対応版)


[目次]
[前ページ]2.2 記述ブロック
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2.2.1 TR

2.2.1A 〔形式〕

TR 入力レベル 属性 フィールド長 繰り返し数
(Group Field)
タイトル及び責任表示に関する事項
必須1 可変長    1
   タイトル、責任表示    (可変長) (1024バイト) (1)
 本タイトル (必須1) (無*)
 タイトル関連情報 (必須2) (有)
 並列タイトル (選択) (有)
 並列タイトル関連情報 (選択) (有)
 責任表示 (必須2) (有)
 並列責任表示 (選択) (有)
タイトルのヨミ    (可変長) (1024バイト) (1)
 本タイトルのヨミ (必須2) (無*)
 タイトル関連情報のヨミ (必須2) (有)
 並列タイトルのヨミ (選択) (有)
 並列タイトル関連情報のヨミ (選択) (有)
タイトルのその他のヨミ (選択) (可変長) (1024バイト)   (2)

 *総合タイトルがない場合、個々の著作タイトルを繰り返して記録する。

2.2.1B 〔記述文法〕

記述文法については、「付録6.1 図書書誌データの記述文法」を参照のこと。

2.2.1C 〔日本目録規則1987年版改訂3版の区切り記号の採否〕

 1.1.0.2(区切り記号法)の採否については、次のとおりとする。
 ア)は不採用とする。資料種別はGMDフィールド、SMDフィールドに記録する。
 イ)は採用する。
 ウ)は不採用とする。部編や付録については「目録情報の基準 第5版」(→ 4.2.2)に規定されているタイトルの範囲に従う。
 エ)の条文中のピリオド、スペース(.△)は、スペース、ピリオド、スペース(△.△)として採用する。
 オ)は採用する。
 カ)は採用する。
 キ)は採用する。
 ク)は採用する。
 すべての例示から資料種別を省略する。また、2番目の例示(共通タイトル.△部編のタイトル△[資料種別]△/△責任表示)は不採用とする。

2.2.1D 〔フィールド内容とデータ要素〕

 TRフィールドには、目録対象資料の本タイトル、タイトル関連情報、責任表示、タイトル(本タイトルとタイトル関連情報を含む)のヨミ及びその他のヨミをフィールド中のデータ要素として記録する。
 ただし、タイトルのその他のヨミについては、本項では取り扱わない。関連する各コーディングマニュアル等を参照のこと。

 それぞれの書誌要素に対応する並列書誌要素は単数ないしは複数存在することがある。

 タイトル関連情報は単数ないしは複数存在することがある。

 責任表示は単数ないしは複数存在することがある。

2.2.1E 〔データ要素の情報源〕

E1

 TRフィールドのデータ要素の情報源は「日本目録規則1987年版改訂3版」(以下「NCR87R3」と略す)2.0.3.2(各書誌的事項の情報源)の「ア)タイトルと責任表示」の規定により、標題紙(標題紙裏を含む)、奥付、背、表紙とする。
 また、古刊本、古写本等の場合は、同じく2.0.3.2(各書誌的事項の情報源)、並びに3.0.3.2(各書誌的事項の情報源)の「ア)タイトルと責任表示」の規定による。

E2

 並列タイトルについては、本タイトルと同一の個所に表示されていなくてはならない。例えば、標題紙には本タイトルのみで、並列タイトルの表示がなく、表紙にのみ、本タイトルと並列タイトルがあるような場合は、(並列タイトルの存在の有無を理由に表紙を主たる情報源として記録するのではなく)表紙上に表示された並列タイトルは表紙タイトルとしてVTフィールドに記録する。

2.2.1F 〔データ記入及び記入例〕

F1 (本タイトル及びタイトル関連情報)

F1.1

 本タイトルとなるものは、「目録情報の基準 第5版」で規定されている「固有のタイトル」である。したがって、NCR87R3で示されている本タイトルのうち、1.1.1.1(本タイトルとするものの範囲)のウ)、及び2.1.1.1(本タイトルとするものの範囲)のウ)については不採用とする。

F1.2

 タイトルの上部や前方に表示されている語句が、本タイトルの一部とも、タイトル関連情報や責任表示等、他の書誌的事項とも判断できるような場合、次に示すような観点で本タイトルであるかどうかを決定する。
 なお、本タイトルとしなかった形のタイトルについては、それらをVTフィールドに記録することが望ましい。

F1.3

 複数の情報源でタイトルが異なっている場合、TRフィールドに記録しなかったタイトルについては、それを該当するコードを付してVTフィールドに記録する。

TR:漱石の迷走と救い / 奥山実著||ソウセキ ノ メイソウ ト スクイ
VT:CL:漱石の迷走と福音||ソウセキ ノ メイソウ ト フクイン
TR:学校図書館の読書指導と利用指導 : 新しい学力の考えに立つ / 中川昭則編著||
 ガッコウ トショカン ノ ドクショ シドウ ト リヨウ シドウ : アタラシイ ガクリョク ノ カンガエ ニ タツ
VT:CL:学校図書館の利用指導と読書指導 : 新しい学力の考えに立つ||
 ガッコウ トショカン ノ リヨウ シドウ ト ドクショ シドウ : アタラシイ ガクリョク ノ カンガエ ニ タツ

F1.4

 複数の著作を収録した合集等について、所定の情報源に総合タイトルと単数ないしは複数の著作タイトルとの双方が表示されている場合、次のように扱う。

ア) 1冊だけから成る資料の場合
総合タイトルをTRフィールドに記録し、著作タイトルはCWフィールドに記録する。
イ) 分冊刊行された(複数の出版物理単位から成る)資料の場合
各冊に表示された著作タイトルをTRフィールドに記録し、総合タイトルはPTBLフィールドに記録する。
TR:善悪の彼岸 ; 道徳の系譜 / フリードリッヒ・ニーチェ著 ; 信太正三訳||ゼンアク ノ ヒガン ; ドウトク ノ ケイフ
PTBL:ちくま学芸文庫||チクマ ガクゲイ ブンコ <> . ニーチェ全集||ニーチェ ゼンシュウ ; 11//ab

F1.5

 所定の情報源のどこにも本タイトルがないか、所定の情報源自体がない場合は、目録作成者の判断によって、資料の内容や種類などを表す簡潔な語句か本文の冒頭の一部分を用いて、本タイトルを補記する。このとき、補記した本タイトルが目録対象資料中にあればその箇所を、なければ目録作成者が決定したことをNOTEフィールドに記録する。

F1.6 (タイトル関連情報)

F1.6.1

 本タイトルを選択した個所にタイトル関連情報が複数存在する場合は、それらすべてを記録することができる。このとき、それぞれのタイトル関連情報はスペース、コロン、スペース(△:△)で区切り、情報源上に表示されている順序で記録する。
 個々の情報源にそれぞれ異なるタイトル関連情報がある場合は、それらすべてを記録することができる。ただし、TRフィールドに記録することができるのは、本タイトルと同一個所に表示されているタイトル関連情報のみであり、それ以外の個所に表示されているタイトル関連情報は、それぞれVTフィールドに記録する。

TR:新・飛ばしの科学 : 力を入れずに飛距離がのびる / 増田正美著||シン・トバシ ノ カガク : チカラ オ イレズニ ヒキョリ ガ ノビル
VT:CV:新・飛ばしの科学 : 30ヤード飛距離アップの新理論||シン・トバシ ノ カガク : 30ヤード
 ヒキョリ アップ ノ シン リロン
F1.6.2

 長いタイトル関連情報の一部ないし全部は、それを省略することができる。省略した場合には、NOTEフィールドに記録する。なお、省略の判断基準は、その部分から索引語を抽出すべきかどうかよる。

TR:オンラインデータベース活用事典 / 鈴木尚志, 田中康介著||オンライン データベース カツヨウ ジテン
NOTE:タイトル関連情報: どんな情報がどこにあるのか?アクセスするにはどうすればいいか?……が、すぐに引けてわかる本

F2 (並列タイトル及び並列タイトル関連情報)

F2.1

 並列タイトル及び並列タイトル関連情報は、本タイトル及びタイトル関連情報として選定されたタイトルに対応して、そのタイトルの別言語及び(又は)別の文字で所定の情報源中に表示され、本タイトルと同等の意味を持っているものである。そのうち、本タイトル等と同一個所に表示されているものみを並列タイトルとしてTRフィールドに記録することができる。

F2.2

 本タイトルと同等の意味内容のものであっても、本タイトル採録個所以外に表示されている場合は並列タイトルとはせず、VTフィールドに記録する。

F2.3

 本タイトルと同等の意味内容のものであっても、目録対象資料が翻訳書で、その原書名であることが明らかな場合は、並列タイトルとはせず、VTフィールドに原書名コードORを付して記録する。

TR:水の世界 : 地球・人間・象徴体系 / アンヌ・ドゥクロス著 ; 近藤真理訳||
 ミズ ノ セカイ : チキュウ・ニンゲン・ショウチョウ タイケイ
VT:OR:Toute l'eau du monde

F3 (責任表示及び並列責任表示)

F3.1

 責任表示とするものの範囲については、NCR87R3の2.1.5.1(責任表示とするものの範囲)の規定に従う。ただし、所定の情報源上にある監修者、監訳者等については、著者、訳者など、より直接的に関与した責任表示がある場合は、それを責任表示とし、監修者、監訳者等はNOTEフィールドに記録する。より直接的に関与した責任表示がない場合には、監修者、監訳者等を責任表示として記録する。

TR:実践フレームリレー / 野村雅行, 辻村司共著||ジッセン フレーム リレー
NOTE:監修: 宮脇陞

F3.2

 所定の情報源上に責任表示に相当する表示がないとき、資料本体中のいずれかの場所にあれば、それを補記する。資料本体中にもなく、資料以外の何らかの情報源から得られた場合は、その情報はNOTEフィールドに記録する。

F3.3

 同一の役割の責任表示が複数ある場合の記述は、それぞれをコンマ、スペース(,△)で区切って記録する。

F3.4

 同一の役割の責任表示として記録することができる個人名や団体名の数については、NCR87R3の1.1.5.1Dの任意規定及び別法を採用するものとし、その数が3までのときは、そのまま記録する。4以上の場合には、主たる名称、あるいは最初に表示されている名称一つだけを記録し、他は [ほか] の語を補記して、省略することができる。また、省略された責任表示はNOTEフィールドに記録する。

TR:十五年戦争と満鉄調査部 / 石堂清倫 [ほか] 著||ジュウゴネン センソウ ト マンテツ チョウサブ
NOTE:その他の著者: 野間清, 野々村一雄, 小林庄一

F3.5

 役割の異なる責任表示が複数ある場合の記録の順序は、NCR87R3の2.1.5.2Bの規定に従い、役割が異なるごとにスペース、セミコロン、スペース(△;△)で区切って記録する。

TR:新約聖書と批評学 / ジョージ・エルドン・ラッド著 ; 榊原康夫, 吉田隆共訳||シンヤク セイショ ト ヒヒョウガク

F4 (タイトルのヨミ、タイトル関連情報のヨミ)

F4.1

 タイトルやタイトル関連情報(並列タイトル及び並列タイトル関連情報を含む)のヨミは、それに対応する読み方を記録する。
 ヨミの表記方法については、「目録情報の基準 第5版」の11.3(ヨミの表記及び分かち書き規則)による。

F4.2

 一つの語句に複数の読み方がある場合、より一般的と判断される方を採用し、他方はVTフィールドに記録する。

F4.3

 慣用の読み方があるものは、その慣用に従う。また、地名、人名等は、その固有の読み方を採用する。

2.2.1G 《注意事項》

 例外として、和古書等、1書誌データに複数の出版物理単位を記述することが許容されている資料がある。(→2.0.3出版物理単位
 この場合、データ要素の情報源は、該当する目録対象資料の最初に刊行された資料(又は入手可能なもののうちの最初に刊行された資料)の所定の情報源による。


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