目録システムコーディングマニュアル(NCR2018対応版)


[目次]
[前ページ] 4.0 通則
[次ページ] 4.0.2 複製資料

4.0.1 タイトル変遷

 逐次刊行物については,継続的に刊行される一連の刊行物全体を「逐次刊行物書誌単位」として,一つの書誌データを作成する。この書誌的記録は,刊行途中の本タイトルの変更等により,新しい著作の出現とみなされ,その体現形に対する新規の記述の作成が必要となる場合がある。これを「タイトル変遷」という。

4.0.1A 〔タイトル変遷の判断基準〕

 以下の指針に従って,タイトル変遷かどうかを判断する。タイトル変遷と判断できる場合は,新規書誌データを作成する。この方式を「個別タイトル記入方式」という。

A1(本タイトルの変化)

 本タイトルの変化に関しては,NCR2018 #2.1.1.4に準拠する。本タイトルの変化には重要な変化と軽微な変化があり,軽微な変化に該当しない重要な変化の場合にタイトル変遷と判断する。
 判断に迷う場合は,軽微な変化とする。ただし,出版者によるタイトルの変更の意思を示す証拠がない場合に限る。各条項番号およびその採否については,以下のとおりである。

A1.1 重要な変化

NCR2018 #2.1.1.4.1に従い,以下の場合を重要な変化とみなす。

(1)本タイトルが単語に区切らずに表記する言語・文字種(日本語,中国語等)から成る場合に,いずれかの単語に変化,追加または削除があるか,語順の変化があり,その結果,本タイトルの意味が変わったり,異なる主題を示すものとなったとき
相談学研究 → カウンセリング研究

(2)本タイトルが単語に区切って表記する言語・文字種(英語等)から成る場合に、冠詞を除いて先頭から5番目までの単語に変化,追加または削除があるか,その範囲で語順に変化があったとき
Journalism quarterly → Journalism & mass communication quarterly

(3)本タイトルが単語に区切って表記する言語・文字種(英語等)から成る場合に,冠詞を除いて先頭から6番目以降の単語に変化,追加または削除があり,その結果,本タイトルの意味が変わったり,異なる主題を示すものとなったとき
Advances in enzymology and related subjects of biochemistry
→Advances in enzymology and related areas of molecular biology

(4)イニシャルまたは頭字語が変わったとき

(5)言語が変わったとき

(6)本タイトルに含まれる団体名に変化があり,変化後の団体が別の団体を示すものとなったとき
電子通信学会誌 → 電子情報通信学会誌
Journal of research of the National Bureau of Standards
→Journal of research of the National Institute of Standards and Technology

(7)逐次刊行物全体の順序づけを表す表示に変化があったとき
年代順のシリーズ表示等,逐次刊行物全体の順序づけを表す表示の追加・削除・変化が巻次変更に伴って生じた場合は,重要な変化とみなす。(NACSIS独自規定)(→ 4.2.1 F2.84.2.1 F2.9
西洋史研究 → 西洋史研究. 新輯 
Endeavour → Endeavour. New series

A1.2 軽微な変化

NCR2018 #2.1.1.4.2に従い,以下の場合を軽微な変化とみなす。

(1)本タイトルが単語に区切らずに表記する言語・文字種(日本語、中国語等)から成る場合に、助詞、接続詞、接尾語に変化、追加または削除があったとき
中国土地改良 → 中国の土地改良

(2)本タイトルが単語に区切らずに表記する言語・文字種(日本語、中国語等)から成る場合に、逐次刊行物の種別を示す単語について、類似の単語への変化、追加または削除があったとき
日本近代文学館ニュース → 日本近代文学館

(3)本タイトルが単語に区切らずに表記する言語・文字種(日本語、中国語等)から成る場合に、逐次刊行物の刊行頻度の変化を伴わずに、刊行頻度を示す単語について、同義の単語への変化、追加または削除があったとき
月刊海外経済データ → 海外経済データ

(4)本タイトルが単語に区切って表記する言語・文字種(英語等)から成る場合に、冠詞、前置詞、接続詞またはそれに相当する単語に変化、追加または削除があったとき
Annual report of transport economy → Annual report on the transport economy

(5)本タイトルが単語に区切って表記する言語・文字種(英語等)から成る場合に、表記方法(綴りの違い、略語・記号・符号とその展開形、数字・日付とその語句による形、ハイフンの有無、複合語の分割形と連結形、イニシャル・頭字語とその展開形、単数形と複数形のような文法的な違い、句読法の違いなど)に変化があったとき
year-book ⇔ yearbook 
IC ⇔ integrated circuits

(6)本タイトルが単語に区切って表記する言語・文字種(英語等)から成る場合に、逐次刊行物の種別を示す単語に追加または削除があったとき
Minnesota history bulletin → Minnesota history

(7)本タイトルが単語に区切って表記する言語・文字種(英語等)から成る場合に、順序表示と結びつける単語に変化、追加または削除があったとき
Programme of work → Programme of work for ...

(8)規則的なパターンに従って巻号単位で複数のタイトルを使い分けているとき

(9)列記されている複数語について、語順の変化、単語の追加または削除が、本タイトルの意味や主題の変化につながらないとき
鹿児島大学理学部紀要. 数学・物理学・化学 → 鹿児島大学理学部紀要. 数学・化学・物理学
Japanese journal of applied physics. Pt. 1, Regular papers, short notes & review papers
→Japanese journal of applied physics. Pt. 1, Regular papers, brief communications & review papers

(10)主情報源上のレイアウトの変更等に伴い,より顕著に表示されているタイトルが交替したとき
主情報源上のレイアウトの変更等に伴い,より顕著に表示されているタイトルが交替した場合,従来からの本タイトルが主情報源上に表示されているかぎり,軽微な変化とみなす。
NCR2018 #2.1.1.4.2 k)では適用を本タイトル/並列タイトルの交替にかぎっているが,顕著に表示されているタイトルの交替全般に適用する。 (NACSIS独自規定)

(11)言語の変化がなく、文字種の変化があったとき
NTTファシリティーズジャーナル → NTTファシリティーズjournal
Viewかんざき → View神崎
韓國의中小企業 → 한국의 중소기업

(12)本タイトルに含まれる団体名の表記に微細な変化、追加または削除があるか、他の単語との関係の変化があったとき
ただし,微細な変化,追加または削除であっても,団体名称の変更に伴うものである場合は,軽微な変化とみなさない。(NACSIS独自規定)
沖縄生物教育研究会誌 → 沖生教研会誌
Berichte der Gesellschaft für Mathematik und Datenverarbeitun → GMD-Bericht

(13)主要でない語の変化
その他,タイトルの意味内容や主題に変化を及ぼさない主要でない語が変化,追加または削除された場合は,軽微な変化とみなす。
県民所得推計結果報告書 → 県民所得推計報告書

上記,重要な変化としないものおよび軽微な変化となるものは,VTフィールドにLTとして記録し,NOTEフィールドに巻次・年月次とともに記録する。アクセス上必要がないものはNOTEフィールドのみに記録してもよい。 (→ 4.2.6 F64.2.7 F3.2.1
 ただし,上記A1.2の軽微な変化の規定に関して,書誌の同定・運用上特に必要と認められる場合には,タイトル変遷とみなすこととする(NACSIS独自規定)。

A2 (責任表示の変化)

 刊行途中に責任表示に変化・追加・削除があった場合は,タイトル変遷とみなさず,新規書誌データは作成しない。
それらはNOTEフィールドに記録し,ALフィールドまたは該当著者名典拠データのSFフィールド等に記録する。(→ 4.2.1 F5.34.2.7 F3.2.2 イ)
 ただし,NCR2018の#2.2.0.6に従い,本タイトルが総称的で,その責任表示の表記に微細な変化,追加または削除以外の変化があった場合は,タイトル変遷とみなす。(→ 4.2.1 F5.54.0.3

A3 (並列タイトルの変化)

 刊行途中に並列タイトルに変化・追加・削除があった場合は,タイトル変遷とみなさず,別書誌データは作成しない。それら並列タイトルは,NOTEフィールド(必要があればVTフィールド)に記録する。(→ 4.2.1 F3.54.2.7 F3.2.1 ウ)

A4 (タイトル関連情報の変化)

 刊行途中にタイトル関連情報に変化・追加・削除があった場合は,タイトル変遷とみなさず,別書誌データは作成しない。それらタイトル関連情報は,NOTEフィールド(必要があればVTフィールド)に記録する。(→ 4.2.1 F4.64.2.7 F3.2.1 エ)

A5 (版表示の変化)

 刊行途中に版表示に対象範囲や主題が変わったことを示す変化がある場合は,タイトル変遷とみなし新規データを作成する。版表示の表現上の変化の場合,タイトル変遷とみなさず,変化後の版表示を注記する。(→ 4.2.2 H1, 4.2.7 F3.2.3

A6 (順序表示(巻次・年月次)の変化)

 刊行途中に順序表示に変化・追加があった場合は,タイトル変遷とはみなさず,別書誌データは作成しない。巻次変更として,VLYRフィールドに記録する。(→ 4.2.3 F4

A7 (出版表示・頒布表示等の変化)

 刊行途中での出版地,出版者の変化・追加など,出版表示・頒布表示等だけに相違が発生しても,別書誌データは作成しない。変化後の出版表示・頒布表示等は,NOTEフィールドに記録する。(→ 4.2.4 F2.6F3.64.2.7 F3.2.5 ア),イ)

A8 (一時的な変化)

 タイトル変遷とみなすデータ要素の変化が一時的で,すぐに元のタイトルに戻ったとしても,変化があった都度に各々別書誌データを作成する。

TR:Elektrowärme(vol. 1-13)	→	TR:Gas und Elektrowärme(vol. 14)→	TR:Elektrowärme(vol. 15-19)

4.0.1B 〔タイトル変遷の種類〕

 タイトル変遷には,次のような種類がある。

B1 (継続)

 ある雑誌(A)のタイトルが変更し別のタイトルの雑誌(B)となった場合,継続関係のタイトル変遷が発生したとする。

 なお,A誌とB誌が合併してC誌になる場合,あるいは,A誌が分離してB誌とC誌になる場合もこの継続関係とみなす。

B2 (派生)

 ある雑誌(A)から別の雑誌(B)が分離,独立して創刊され,かつAのタイトル自体には変更がない場合に,派生関係のタイトル変遷が発生したとする。

B3 (吸収)

 ある雑誌(B)に別の雑誌(A)が吸収され,廃刊を迎え,かつBのタイトル自体には変更がない場合に,吸収関係のタイトル変遷が発生したとする。

4.0.1C 〔タイトル変遷の表現〕

 タイトル変遷に関する情報は,次に示す変遷ブロックの各フィールドに記録する。

  1. FID
  2. BHNT

4.0.1D 〔変遷ブロックの記録方法〕

 変遷ブロックのFIDフィールド,BHNTフィールドへの記録は,参加館からの報告に基づいて国立情報学研究所が行う。変遷関係が生じた場合は,速やかに「変遷注記用データシート」を作成し,情報源のコピーとともに国立情報学研究所宛てに送付するものとする。(→ 4.0 F
 なお情報源は,和雑誌の場合,変遷前誌の終号,変遷後誌の初号の表紙が規定のものであるが,タイトル・ページ,キャプション,奥付,背等と表記が異なる場合は,それらも送付する。


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