目録システムコーディングマニュアル(CAT2020対応版)


[目次]
[前ページ]4.2.2 ED
[次ページ]4.2.4 PHYS

4.2.3 PUB

4.2.3A 〔形式〕

PUB 入力レベル 属性 フィールド長 繰り返し数
(Group Field)
出版・頒布等に関する事項
必須1 可変長   4
  出版地、頒布地等*1 (必須2*2 (可変長) (254バイト) (有*3
出版者、頒布者等* (必須2*2 (可変長) (254バイト) (有*3
日付 (必須2*2 (可変長) (254バイト) (無*4
役割表示*5 (選択) (固定長) (1バイト) (無)

*1 製作地、製作者も含む。
*2 2番目以降の出版地・頒布地等、出版者・頒布者等、日付の入力レベルは「選択」である。
*3 出版地と出版者(あるいは頒布地と頒布者、製作地と製作者)との組合せが対になって1つのPUBフィールド内で複数回繰り返されることはない。そのような場合は、PUBフィールド自体を繰り返す。
*4 出版年・頒布年等と著作権表示年が異なる場合は、著作権表示年を「日付」として付記することができる。
*5 制作等に関する事項のときコード「m」を記入する。

4.2.3B 〔記述文法〕

記述文法については、「付録6.1 図書書誌データの記述文法」を参照のこと。

4.2.3C 〔AACR2の区切り記号の採否〕

 AACR2の1.4A1(区切り記号法)及び2.4A1(区切り記号法)の採否については、次のとおりとする。なお、各項の番号(1、2、3など)はAACR2の1.4A1と2.4A1の各段落に対応し、番号に続く丸括弧内に各段落で規定する区切り記号の内容の要約を示す。

 なお、日本語版刊行後の改訂で、1.4A1の第10段落として、下記の規定が追加された。これに該当する規則は1.4D2の任意規定であるが、この任意規定は採用しない。

 AACR2 1988 Revision 1.4A1
10 並列的な表示の前に置く等号の使用については、以下に挙げる規則のうち、該当するものを見よ。

4.2.3D 〔フィールド内容とデータ要素〕

 PUBフィールドには目録対象資料の出版地・頒布地等、出版者・頒布者等、出版年・頒布年等、及び、必要に応じて、製作項目(製作地、製作者、製作年)をデータ要素として記録する。

4.2.3E 〔データ要素の情報源〕

E1

 PUBフィールドのデータ要素の情報源は、タイトルページ、タイトルページの裏、表紙など、及び奥付とする。規定の情報源以外から得た情報は、角括弧([ ])に入れて記録する(→ AACR2 2.0B2)。

4.2.3F 〔データ記入及び記入例〕

F1 (データ記入の原則)

F1.1

 PUBフィールドのデータ要素となる場所、個人、団体の名称については、付随している前置詞を省略して当該名称を転記する。ただし、前置詞が格変化語尾に影響する場合は、その前置詞は省略しない。(→ AACR2 1.4B4)。

PUB:Berlin : Im Deutschen Verlag , c1943

 なお、AACR2の1.4B4は、日本語版刊行後の改訂によって、記録の際には付録Bの略語を使用する旨が明示された。

PUB:Stockholm : University of Stockholm, Dept. of Political Science , 1977

F1.2

 出版・頒布等に関する事項の記録の方法については、AACR2の規則1.4B6及び1.4B7に準拠する。なお、日本語版刊行後の改訂によって1.4B5が削除されたため、これらの規定はそれぞれ、1.4B5,1.4B6となった。

F2 (出版地・頒布地等)

F2.1

 出版地等は、表示されているとおりの形と文法上の格で記録する(→ AACR2 1.4C1)。

F2.2

 出版地が複数の言語あるいは文字で表示されている場合の記録については、日本語版刊行後の改訂によって追加されたAACR2の1.4C1の第2段落に準拠する。すなわち、本タイトルと同じ言語又は文字で表示されているものを記録し、この規定が適用できない場合は、最初に表示されているものを記録する。

F2.3

 場所の識別のための付記については、AACR2の規則1.4C2及び1.4C3に準拠する。また、日本語版刊行後の改訂により、英語形があればその形を使用する。

F2.4

 1つの出版者・頒布者等に対して2個所以上の地名が目録対象資料に表示されている場合は、最初に表示されている地名を記録する(→AACR2 1.4C5)。
 また、情報源上でレイアウトによって強調されている地名があれば、それも記録することができる。以上に国内の地名が含まれていない場合は、さらに、目録対象資料中に含まれている国内の地名のうちの最初のものを追加して記録することができる。

PUB:Berlin ; New York ; Tokyo : Springer-Verlag , 1992

 改訂前のAACR2では、目録作成機関の母国の地名を情報源上のレイアウトによって強調される地名より優先していたが、日本語版刊行後の改訂によって上記のようになった。

F2.5

 出版地等が確認できない場合については、AACR2の規則1.4C6に準拠する。なお、日本語版刊行後の改訂により、推定によって地名を補記する場合は、英語形があればその形を使用する。

F2.6

 AACR2の1.4C7の任意規定は採用しない。出版者・頒布者等の住所を、地名への付記事項としてPUBフィールドに記録してはならない。必要に応じて、これをNOTEフィールドに記録することができる。

F3 (出版者・頒布者等)

F3.1

 出版者・頒布者等は、それが関連する地名に続けて記録する(→ AACR2 1.4D1)。

F3.2

 出版地等と出版者等が対になって複数表示されているとき、2番目以降の出版地等と出版者等を記録する場合は、フィールドを繰り返して記録し、1つのPUBフィールドにまとめた形での記録はしない。記録する出版地等、出版者等の選択にあたっては、次に示す、日本語版刊行後に改訂されたAACR2の規則1.4D5に準拠する。なお、2番目以降の出版地等、出版者等の入力レベルは「選択」である。

PUB:Amsterdam : Elsevier
PUB:Tokyo : Kodansha , 1980

 複数のPUBフィールドを作成した場合は、出版年は最後のPUBフィールドに記録する。

 AACR2 1988 Revision 1.4D5
 記述対象に複数の出版者・頒布者等が表示されている場合は、最初に表示されているものとそれに対応する場所を転記する。次の場合は、2番目以降に表示されている出版者・頒布者等と(既に表示した場所と異なる場合は)それに対応する場所を付記する。
 複数の部分から成る資料についても、出版の過程で出版者名等に変遷がある場合はこの規則に従う。

F3.3

 出版地、出版者の他に、頒布地、頒布者が表示されている場合は、記録するときにはフィールドを繰り返す。入力レベルは「選択」である。

PUB:Copenhagen : Nordic Pharmacological Society
PUB:Copenhagen : Munksgaard [distributor] , 1996

F3.4

 出版者・頒布者等の記録の方法に関しては、AACR2の規則1.4D2,1.4D3及び1.4D4に準拠する。ただし、日本語版刊行後の改訂で1.4D2の第3段落として追加された任意規定は採用しない。
 また、1.4D4の規定のうち、団体名を短縮形で記録するという部分については、検索上支障を来すおそれがあるため、原則として採用しない。

 AACR2 1988 Revision 1.4D2の第2、3段落
 出版者名・頒布者名等の最も簡潔な形が複数の言語や文字で表示されている場合は、本タイトルと同じ言語や文字による形を記載する。これが適用できない場合は、最初に表示されている言語や文字による形を記載する。
 任意で、各言語・文字による最も簡潔な形をそれぞれ記載する。それぞれの並列的な表示の前には等号を置く。最も簡潔な形がどの言語や文字でも同じであれば、1つだけ記載する。

F3.5

 出版者・頒布者等が不明である場合は、AACR2の規則1.4D6及び1.4D7に準拠する。
 なお、これらの条項は、日本語版刊行後の改訂によって、それぞれ1.4D7,1.4D8となった。

F3.6

 出版者・頒布者等の役割表示に関するAACR2の1.4Eの任意規定は、これを採用する。

F4 (出版年・頒布年等)

F4.1

 出版年・頒布年等の記録の方法に関しては、AACR2の規則1.4F1,1.4F2,1.4F3,1.4F6及び1.4F7に準拠する。

F4.2

 出版年が頒布年と異なる場合の記録方法に関するAACR2の1.4F4の規定は採用しない。

F4.3

 著作権表示年が出版年等と異なる場合の付記に関するAACR2の1.4F5の任意規定は、これを採用する。

F4.4

 複数の出版物理単位から成る資料の場合に、出版年が2年以上にわたるときは、刊行開始年と刊行終了年をハイフン(-)で結んで記録する。刊行中のときは開始年を記録し、ハイフン(-)を続ける。出版年が1年の中に収まる場合は、その年のみを記録する。

F5 (製作等に関する事項)

 製作等に関する事項の記録については、AACR2の規則1.4G及び2.4Gに準拠する。記録の方法については、次の例のようにフィールドを繰り返し、丸括弧(( ))に入れて記録する。なお、製作等に関する事項の入力レベルは「選択」である。

PUB:[S.l.] : [s.n.]
PUB:(London : High Fidelity Sound Studios , 1970)

4.2.3G 〔フィールドの繰り返し〕

 出版地・頒布地と出版者・頒布者ないしは製作地と製作者がそれぞれ対となっていて、その組合せが複数ある場合は、PUBフィールドを繰り返す。

4.2.3H 《注意事項》

H1

 1つのPUBフィールドに、出版地・頒布地等と出版者・頒布者等の対を繰り返して記録してはならない。繰り返し記録すると、「1番目の出版者・頒布者等;2番目の出版地・頒布地等」の部分が1つの出版者名とみなされて、2番目の出版地・頒布地に対する検索キーが正しく作成されない。

(誤)
PUB:Oxford : Clarendon Press ; New York : Oxford University Press , 1995
(正)
PUB:Oxford : Clarendon Press
PUB:New York : Oxford University Press , 1995

H2

 例外として、マイクロ資料や西洋古典籍等、1書誌データに複数の出版物理単位を記述することが許容されている資料がある。(→4.0.3 出版物理単位)  このような資料において刊行時期に違いのある複数の情報源がある場合、データ要素の情報源は、該当する目録対象資料の最初に刊行された資料(又は入手可能なもののうち最初に刊行された資料)の規定の情報源による。  なお、最初に刊行された資料(又は入手可能なもののうち最初に刊行された資料)以外に表示されている異なる出版に関する事項については、NOTEフィールドにそれを記録する。(→ 4.2.7 NOTE)

H3

 並行して別の出版者から刊行された資料に表示されている出版に関する事項を記録してはならない。
 このような場合は別書誌を作成する。

〔関連項目〕


[ページの先頭]