構造の種類は,いわゆるシリーズ扱いか,セットもの扱いかの指定を行うもので,総合目録データベースにおいてはさほどの意味を持たないが,参加組織におけるリスト等の出力に対する便宜等のために設けられた項目である。
リスト等出力の際,「シリーズ」の指定を行って親書誌データのタイトルをシリーズエリアに出力し,「セット」の指定を行って親書誌単位から順に多段階記述で出力する,というような設定を可能にする。また,各参加組織において,書架分類をセットとしてまとめた番号を付与するか,個々のタイトルで分類するかの目安として用いることもできる。
解説(3階層以上の書誌構造)「16世紀の音楽生活」という出版物理単位は,「中世とルネサンスの音楽」という集合書誌単位に含まれ,さらに「人間と音楽の歴史」という上位の集合書誌単位に含まれる。
総合目録データベースでは,この書誌構造を次のように表現する。(例7)
次の例では,中位の書誌単位を含め6階層の書誌構造を有するように見えるが,「Innerasien」と「Tibet,Nepal,Mongolei」は固有のタイトルではないため,総合目録データベースにおいては中位の書誌単位は2単位で,書誌構造としては計4階層である。この場合も,中位の書誌単位の情報は子書誌データのPTBLフィールドに記録することによって,書誌構造を表現する。(例8)
解説(集合書誌単位のタイトルと出版物理単位のタイトル)親書誌データは,一連の子書誌に共通するシリーズ/セットを集合書誌として関連づけるための概念的データである。従って,そこには個々の出版物理単位の情報は記述しない。
全集の別巻のように,シリーズ/セットものの中でその巻の名称だけが固有のタイトルでない場合,別巻の書誌は親書誌データとは別の書誌データを作成する。このような場合,第4版以前は親書誌データのVOLフィールドに別巻の情報を記述し,「バランスしない書誌構造」と呼んでいた。しかし,第5版適用以降は親書誌データにVOLを追加してはならない。(例9)
第2巻までは固有のタイトルがないのに,第3巻以降固有のタイトルが付くようになった場合,各出版物理単位で書誌データを作成し,階層構造をもつ巻については別に親書誌データを作成してリンクを形成することができる。(例10)
第4版以前は,例9,例10のような場合,書誌データの作成単位は,書誌単位と固有のタイトルの有無によって決定していた。すなわち,固有のタイトルを有するものについては子書誌データを作成し,そうでないものについては親書誌データのVOLフィールドに部編名を記述し,バランスしない書誌としていた。第5版適用以降,バランスしない書誌に対して書誌構造リンクを形成することは禁止する。書誌構造リンクを形成する場合には,新たに親書誌データを作成してリンク形成を行う必要がある。
なお,続巻が発刊されたことにより,タイトルの一部が集合書誌単位(親書誌データ)のタイトルとみなされるようになった場合も,所蔵データが登録された既存書誌データは,対応する親書誌データとはみなさない。書誌構造リンクを形成する場合には,新たに親書誌データを作成する。(例10)において所蔵登録を行う場合,「1」と「2」の所蔵データは「中心地論」の書誌データと,「3」の所蔵データは「西ドイツにおける地域政策への応用」の書誌データとリンクを形成する。
書誌データは出版物理単位毎に作成する。
例外として以下の資料についてはVOLグループ(VOL,ISBN,PRICE,(及びXISBN)の組)を繰り返して表現してもよい。
和古書は江戸時代まで(1868年以前),漢籍は辛亥革命まで(1912年以前),西洋古典籍はおおむね1830年までに書写・刊行された資料とする。
1冊の本に複数の著作が収められている場合のように,書誌単位は1つであっても,構成部分として複数の著作単位を含む資料がある。このような構成部分については,著作単位毎に書誌データを作成するのではなく,書誌単位に対応する書誌データの中に記録する。
構成部分である著作単位の記録(内容著作注記)は,CWフィールドで行う。これによって,著作のタイトル及び著者名による検索が可能となる。
なお,第5版適用以降においては,CWフィールドは目次の記述も許容する。
ただし,検索の必要のない内容注記(索引,参考文献等)は,NOTEフィールドに記録する。
個々の資料の所蔵状況を示すために,出版物理単位の書誌データに対して,所蔵データとの間にリンクを形成する。親書誌データには所蔵リンクを形成しない。ただし,第5版適用以前に作成されたバランスしない書誌構造においては,親書誌データに対して所蔵リンクを形成する。
書誌データには総合目録として共有すべき書誌情報を記録するのに対して,所蔵データには,各参加組織独自の分類等のローカルな情報を記録する。