図2-1で各データセット間を結ぶ線は,リンク関係を表したものである。
リンク関係の表現は,実際には各データの特定のフィールド(リンクフィールド)中に,リンク先データのIDが記録されることによって行われる。IDは,目録システムにおいて各データを一意的に識別するための番号であり,この番号によってリンク先データが特定されることになる。
リンク関係は,リンクフィールドが繰り返し可能である場合,1:nの関係になる。例えば,書誌データのALフィールドは繰り返し可能であり,1書誌に対してn人の著者の存在が認められる。逆に,1人の著者は,m個の著作を著すことがある。この関係はm:1となる。
一方,一つの所蔵データは,一つの書誌データに対してしかリンク関係を持つことができない。その意味で,書誌データと所蔵データの関係は,常に1:nとなる。
リンクで関連づけられたデータ間の関係は,データID以外に,より具体的な情報をも表示することでさらに明確になる。例えば,書誌データと著者名典拠データのリンク関係では,書誌データのALフィールドに,リンク先著者名典拠データのデータIDと統一標目形が表示される。
データ間の関連性をリンクという方法で表現することは,総合目録データベースの大きな特徴である。また,このリンク形成によって相互のデータ検索が容易になることも,特徴の一つである。
図2-1には示されていないが,図書書誌データ間のリンクとして,書誌構造リンクがある。
書誌構造リンクは,シリーズ又はセットものにおける各冊の書誌単位と,全体を表す書誌単位のそれぞれについてデータを作成し,前者(子書誌データ)から後者(親書誌データ)に対してリンク形成を行うものである。ただし,この書誌構造リンクは,必須ではない。
図2-1で書誌データセットと所蔵データセットを結ぶ線で示されているのが,所蔵リンクである。
所蔵リンクは,資料の書誌的記録と,参加組織における所蔵状況のそれぞれについてデータを作成し(書誌データ,所蔵データ),両者の間でリンク形成を行うものである。この関係づけは,総合目録の本来の機能である所在情報サービスに相当する。
図2-1で書誌データセットと著者名典拠データセット,図書書誌データセットと統一書名典拠データセットを結ぶ線で示されているのが,それぞれ著者名リンク,統一書名リンクである。
著者名リンクは,資料の書誌的記録と,著者名の統一標目形のそれぞれについてデータを作成し,書誌データから著者名典拠データに対してリンク形成を行うものである。
また,統一書名リンクは,資料の書誌的記録と,著作名の統一標目形のそれぞれについてデータを作成し,書誌データから統一書名典拠データに対してリンク形成を行うものである。
これらの関係づけは,典拠コントロールに相当する。ただし,雑誌書誌データセットにおいては,著作名によるコントロールの意味はないと考えられるので,統一書名リンクは形成しない。
図2-1には示されていないが,著者名典拠データ間のリンク,又は統一書名典拠データ間のリンクとして,からも見よ参照リンクがある。
からも見よ参照リンクは,例えば,名称を使い分けて著作を著す人物や,名称を変更した団体に対して作成される複数の著者名典拠データ間で,相互にリンク形成を行うものである。著者名としては別個であるが相互に参照関係があることを,リンク関係で表現するわけである。
なお,「からも見よ参照」に似たものとして「から見よ参照」があるが,これは,データ間の関係としてではなく,1データ内で表現する。
図2-1で雑誌書誌データセットとタイトル変遷データセットを結ぶ線で示されているのが,タイトル変遷リンクである。
タイトル変遷リンクは,逐次刊行物の書誌的記録と,タイトルの変遷関係のそれぞれについてデータを作成し(雑誌書誌データ,タイトル変遷データ),両者の間でリンク形成を行うものである。