新CATクライアントのためのガイドライン


1996.08.02 作成
1997.10.31 更新

目次

  1. はじめに
  2. 新目録システムの構成
    1. NACSIS-CATの概要
    2. ファイルの種類
    3. レコード間の関係(リンク)
  3. 主なオペレーション
    1. 開始(handleの取得)
    2. 検索(frameの作成)
    3. レコード情報の取得
    4. 所蔵レコードの登録(INSERT,UPDATE,DELETE)
    5. 書誌レコードの登録(INSERT,UPDATE)
    6. 流用入力(参照ファイルの利用)
    7. 典拠レコードの登録
    8. リンクの形成
    9. リンクの参照
    10. 終了(handleの解放)
  4. 各ファイルの運用
    1. BOOKファイルの運用
    2. RECONファイルの運用
    3. SERIALファイルの運用
    4. BHOLD,SHOLDファイルの運用
  5. 特定クライアントの留意点
    1. 総合目録データベース形成クライアントが具備すべき要件
    2. 所蔵自動登録クライアント
    3. 検索専用クライアント
  6. 総合目録データベースの将来の変更予定及びその他留意点
    1. 総合目録データベースの将来の変更予定
    2. サーバの実装に関する注意点
    3. 障害に対する留意点
  7. このガイドラインの入手方法

  1. はじめに
  2.  本ガイドラインは,学術情報センターが開発している新目録システム(以下, 新CATとも呼ぶ)を利用するためのクライアントシステムを作成するために必要 な基本的事項(ファイル構成、CATPによるオペレーション等)を解説するものである。
     本ガイドラインが規定するものは,新CATで作成する総合目録データベースの品質を保持するためにクライアントが具備すべき要件,及び,サーバシステムへのいたずらな高負荷をもたらさないためにクライアントが具備すべき要件である。
     なお、本ガイドライン中で書誌データ作成の拠り所となる規則と表現してい るものは「目録システム利用マニュアル データベース編」を参照すること。 また、各メソッドについての詳細は「Cataloging information Access & Transfer Protocol (CATP/1.0)仕様書 第一版」を参照のこと。
     また,本ガイドラインは,今後追加・修正されることがある。最新のガイドラインについては,随時公表していく予定である。

    禁止事項

    以下のようなクライアントを作成することは禁止する。各種クライアント が具備すべき要件については本ガイドラインの「特定クライアントの留意点」 を参照のこと。

    1. ダウンロード機能のみを持つクライアントの作成
    2. 検索時に参照ファイルのみを対象とするクライアントの作成
    3. 品質を維持する機能を欠いているクライアントの作成

    目次に戻る

  3. 新目録システムの構成
    1. NACSIS-CATの概要

       NACSIS-CATは、オンライン・ネットワーク方式により全国規模の総合目録デー タベース(図書・雑誌)を形成する図書館業務用システムである。入力作業を効率的に行な うため、JAPAN/MARCやUS/MARCなどの標準的書誌データベースを参照するとと もに、共同分担方式により目録作成作業の重複を防ぎ、図書館目録業務の省力 化と迅速化を図っている。
       オンラインで総合目録データベースに登録したデータは、同時に図書館蔵書 目録データベースに取り込み、OPAC(利用者用オンライン目録)を構築するこ とができる。オンライン以外では、定期版/個別版磁気テープサービスや個別 版CD-ROMサービスにより、各図書館で入力したデータを利用することができる。
       また総合目録データベースは、NACSIS-IRや学術雑誌総合目録でも利用可能 である。これらは主に研究者や図書館員向けのサービスであるが、WWW上のサー ビス「Webcat」では利用者を特定することなく、総合目録データベースを検索 することができる。
       総合目録データベースを形成することで、資料の所在情報が蓄積され、これ は図書館間で相互貸借業務を行なうシステムであるNACSIS-ILLで利用される。 NACSIS-ILLを効率的に運用するためには、参照するデータベースである NACSIS-CATの総合目録データベースのデータには正確さが求められる。
       データは各図書館が責任を持って入力しているもので、品質管理のかなりの 部分は各図書館側が荷なっている。新目録システムがクライアント・サーバ方 式になることで、図書館側のシステムと融合させた自由な形式のクライアント が作成可能となるが、これまで現行のシステムで行なってきた、 データのチェックのかなりの部分については、新システムでは各クライアント で行なうこととなる。データの品質を最低限守るための留意点については、本 ガイドラインのIIIに定める。

    2. ファイルの種類
      NACSIS-CATには大きく5種類のファイルが用意されている。ここでは各ファイルの概要について記述するが、詳細な運用については本ガイドラインの「IV.各ファイルの運用」を参照すること。

      1. 総合目録書誌ファイル

        総合目録の書誌レコードを納めるファイルである。レコードの内容は、目録対 象資料のタイトル、著者名、出版者等の書誌情報である。このファイルのレコードは 各図書館の共有レコードとして登録され、同一の書誌に対する重複登録は許さ れない。登録、修正は各図書館で行なえるが、レコードの削除はできない(こ の作業はセンターで行なう)。総合目録書誌ファイルには以下の3種類がある。

        • BOOK
          図書書誌レコードを収めるファイル。
        • RECON
          図書書誌の東大遡及レコードを収めたファイル。
          目録カードのデータを利用しての一括入力であるため、現物からのデータ入力 が原則のBOOKとは一線を画すために別ファイルとして運用している。所蔵レコードもリンクしていることと、現物に従った修正が行なわれると BOOKに移されるという特殊な運用を行なっている。
          RECONの詳細な運用については本ガイドラインV.2「RECONファイルの運用」を参照。
        • SERIAL
          雑誌書誌レコードを収めるファイル。

      2. 総合目録所蔵ファイル
        総合目録の所蔵レコードを納めるファイルである。レコードの内容は、リンク している書誌に対する、各図書館での配架場所、請求記号、登録番号、所蔵巻 次等の所蔵状況に関する情報である。このファイルのレコードは各図書館の固有レコードとして登録され、各々の図書館のレコードに限り、登録、修正、削除は自由に行なうことができる。
        所蔵レコードは必ず書誌レコードにリンクして登録される。単独での登録は許 されない。総合目録所蔵ファイルには以下の2種類がある。

        • BHOLD
          図書の所蔵レコードを収めるファイル。
        • SHOLD
          雑誌の所蔵レコードを収めるファイル。

      3. 総合目録典拠ファイル
        総合目録の書誌レコード中の検索要素である標目の形を管理するためのファイ ルである。レコードの内容は、統一された標目形と、検索が予想される参照形 等である。このファイルのレコードは各図書館の共有レコードとして登録され、 同一の標目に対する重複登録は許されない。登録、修正は各図書館で行なえる が、レコードの削除はできない(この作業はセンターで行なう)。総合目録典 拠ファイルには以下の2種類がある。

        • NAME
          著者名典拠レコードを収めるファイル。
        • TITLE
          統一書名典拠レコードを収めるファイル。

      4. 参照ファイル
        総合目録書誌ファイル、典拠ファイルを作成するのに参照可能なファイルである。 レコードのINSERT,UPDATE,DELETEは不可。また、参照して総合目録の書誌・典拠 レコードを作成する場合は必要な規定する記述方法に則りデータを合わせて から総合目録書誌・典拠ファイルに登録しなくてはならない。その際 必要なリンク形成を行わなくてはならない場合があるので注意すること。
        参照ファイルは総合目録レコードを作成するためのものなので、 OPAC等の図書館利用者への提供や総合目録作業・ILL作業以外でのデータのダウンロード を行ってはならない。参照ファイルには以下の11種類がある(平成9年10 月現在)。

        • 主にBOOKレコード作成に用いるもの:USMARC,JPMARC,TRCMARC,UKMARC,GPOMARC,USMARCX
        • 主にSERIALレコード作成に用いるもの:USMARCS,JPMARCS
        • 主にNAMEレコードを作成に用いるもの:USMARCA,JPMARCA
        • 主にTITLEレコードを作成に用いるもの:USMARCT

      5. その他のファイル
        • CHANGE
          SERIALファイルのレコードのタイトル変遷の関係を表すレコードである。 登録、更新は行えない。
        • MEMBER
          参加組織情報のファイルである。自館のレコードの一部について更新が可能。

    3. レコード間の関係(リンク)
      各ファイル間のレコードの相互参照はリンクを形成することで行なう。リンク は総合目録データベース内部にのみ存在し、参照ファイルには存在しない。こ こでは、リンク形成が許される組合せについて列挙する。具体的なリンクの仕 組、形成方法については、本ガイドライン「III.主なオペレーション 8 リンクの形成 」を参照のこと。

      1. BHOLD-->BOOK
        図書所蔵から図書書誌へのリンク。
        BHOLDはBOOKまたはRECONに対して必ずリンクを形成しなくてはならい。
      2. BHOLD-->RECON
        図書所蔵から図書書誌へのリンク。 リンク対象のRECONレコードがUPDATEで更新されていることが前提となる。 (RECONはUPDATEされるとBOOKに移動する。)
        BHOLDはBOOKまたはRECONに対して必ずリンクを形成しなくてはならい。
      3. BHOLD-->MEMBER
        図書所蔵から参加組織へのリンク。
        BHOLDはMEMBERに対して必ずリンクを形成しなくてはならい。
      4. SHOLD-->SERIAL
        雑誌所蔵から雑誌書誌へのリンク。
        SHOLDはSERIALに対して必ずリンクを形成しなくてはならい。
      5. SHOLD-->MEMBER
        雑誌所蔵から参加組織へのリンク。
        SHOLDはMEMBERに対して必ずリンクを形成しなくてはならい。
      6. BOOK-->BOOK
        図書書誌から図書書誌へのリンク。書誌構造(親子関係)をあらわす。このため、 リンク元のBOOKは他のBOOK,RECONからのリンク対象になりえない。また、 リンク対象のBOOKは他のBOOK,RECONへのリンク元にはなりえない。
      7. BOOK-->RECON
        図書書誌から図書書誌へのリンク。書誌構造(親子関係)をあらわす。このため、 リンク元のBOOKは他のBOOK,RECONからのリンク対象になりえない。また、 リンク対象のRECONは他のBOOK,RECONへのリンク元にはなりえない。 なお、リンク対象のRECONレコードがUPDATEで更新されていることが前提となる。 (RECONはUPDATEされるとBOOKに移動する。)
      8. BOOK-->NAME
        図書書誌から著者名典拠へのリンク。
      9. BOOK-->TITLE
        図書書誌から統一書名典拠へのリンク。
      10. RECON-->BOOK
        図書書誌から図書書誌へのリンク。書誌構造(親子関係)をあらわす。このため、 リンク元のRECONは他のBOOK,RECONからのリンク対象になりえない。また、 リンク対象のRECONは他のBOOK,RECONへのリンク元にはなりえない。
      11. RECON-->RECON
        図書書誌から図書書誌へのリンク。書誌構造(親子関係)をあらわす。このため、 リンク元のRECONは他のBOOK,RECONからのリンク対象になりえない。また、 リンク対象のRECONは他のBOOK,RECONへのリンク元にはなりえない。 なお、リンク対象のRECONレコードがUPDATEで更新されていることが前提となる。 (RECONはUPDATEされるとBOOKに移動する。)
      12. RECON-->NAME
        図書書誌から著者名典拠へのリンク。
      13. RECON-->TITLE
        図書書誌から統一書名典拠へのリンク。
      14. SERIAL-->NAME
        雑誌書誌から著者名典拠へのリンク。
      15. NAME<-->NAME
        著者名典拠の相互リンク
      16. TITLE<-->TITLE
        統一書名典拠の相互リンク

    目次に戻る

  4. 主なオペレーション
  5. 各オペレーションにおいて、以下の事項については問題なく機能す ることを前提とする。

    1. センターが規定する文字種以外の,機種固有の外字を使用しないこと。また,センターが規定する全ての文字種が表示・入力できること。
    2. センターが規定する全てのフィールドデータを表示・入力・削除ができること。
    3. 各フィールドについてセンターが規定する長さ,個数の表示・入力ができること。

    1. 開始(handleの取得)
      システムの利用開始にはhandleを取得する必要がある。
      CATPはステイトレスな通信を想定しており、handle取得時にユーザ認証を行い、 その後のセッションには、このhandleを指定してセッションを行う。 ゆえに取得したhandle名はクライアントにて管理する必要がある。
      handle取得にはGETHANDLEメソッドを使用する。

    2. 検索(frameの作成)
      ◎注意点
      • 検索結果の一時リストはフレームとしてサーバーで管理するが,フレームの生成・削除・呼び出しはクライアントで管理しなければならない。
      • フレームの実体はサーバのメモリ上に存在する。したがって,不要のフレームは直ちに削除すること。また,必要以上に大きなフレームは,利用者に絞り込を促しできるだけ小さなものにすること。

      レコードの検索はSEARCH,SCANメソッドにて行う。
      SEARCHメソッドによる検索の結果はサーバのframeに保存される。 RETRIEVE,SCANメソッドはこのframeを対象に行われるので、 クライアントはframe名を管理する必要がある。
      また、使用しないframeを維持し続けることは、サーバの負荷になるので、 使用しないframeについてはRELEASEFRAMEメソッドで開放することが望ましい。
      responseにてレコードを受け取る場合は、 不用意にデータ量の多いresponseにならないように指定すること。

    3. レコード情報の取得
      ◎注意点
      • サーバに負荷が大きいSEARCHは避ける。

      • 大量件数のframeに対するSCANは避ける。

      • 大量件数のRETRIEVEは避ける。

      レコード情報の取得は、

      1. SEARCH,SCANのresponse
      2. RETRIEVE
      3. UPDATE,INSERTのresponse
      にて取得できる。
      SEARCH,SCANのresponse,RETRIEVEで取得した情報を利用してupdateを行う場合、 edit-type=2または9(9はサーバの負荷が高いので、2が望ましい) でレコード情報を取得すること。
      UPDATE,INSERTのresponseでのレコード情報の取得は主にレコードの登録、 更新後の確認の為にあるので、確認をしないクライアントの場合は、 負荷の高くならないように指定すること。
      edit-type=9でのレコード情報の取得はサーバの負荷が高いため、 多用しないことが望ましい。

    4. 所蔵レコードの登録(INSERT,UPDATE,DELETE)
      INSERTの場合、 登録しようとするレコードとFANO+BID+LOCが同一のものがあるとINSERTできないので、 確認する。
      UPDATEの場合、UPDATEしようとするレコード以外にFANO+BID+LOCが同一のものがあると UPDATEできないので注意すること。
      また、FANOに指定するMEMBERのIDはGETHANDLE時に使用したUSERIDによって 限定される。LOCはそのMEMBERの中で指定されたLOC以外は使用できない。

    5. 書誌レコードの登録(INSERT,UPDATE)
      ◎注意点
      • 重複書誌・典拠レコードを作らない。新規に書誌・典拠を登録する際は,必ず総合目録データベースを検索して目的とする書誌が総合目録データベースに登録されていないことを利用者に確認させること。
      • センターの規定する作成基準から逸脱した書誌・所蔵・典拠レコードを作らない
      • 総合目録データベースから流用入力する場合は,混乱を避けるため,参照ファイルからの流用入力とは別のコマンドあるいは操作を用意すること。

      1. SOURCEについて
        INSERT時に必須項目のSOURCEには以下の様にデータを記入する。

        INSERT対象ファイル参照ファイルSOURCEに記入するコード
        BOOKGPOMARCGPO
        JPMARCJP
        TRCMARCTRC
        UKMARCUK
        USMARCLC
        USMARCXLCX
        その他(*)またはなしORG
        SERIALJPMARCSJP
        USMARCSLC
        その他(*)またはなしORG
        *総合目録書誌ファイル(BOOK,SERIAL)のデータをコピーして利用する場合等 。将来、新たな参照ファイルが導入された場合には、新しいコードも同時に設 ける予定。

      2. PUBFについて
        出版の役割表示で制作に関わる場合,旧システムでは出版事項全体を()で括って いたが,新システムではPUBFに"m"を記入する。PUBFに"m"を記入すると, 旧システムで表示すると()で括られて表示される。

    6. 流用入力(参照ファイルの利用)
      参照ファイルを参照してレコードを登録する場合は、 参照ファイルのレコード情報を取得し、規則に則ってデータを登録すること。

    7. 典拠レコードの登録

      1. SOURCEについて
        INSERT時に必須項目のSOURCEには以下の様にデータを記入する。

        INSERT対象ファイル参照ファイルSOURCEに記入するコード
        NAMEJPMARCAJP
        USMARCALC
        その他またはなしORG
        TITLEUSMARCTLC
        その他またはなしORG

    8. リンクの形成
      ◎注意点
      • 親書誌がある場合,子書誌の登録の前に親書誌のリンク付けが終わっていることを確認すること。
      • 3階層以上の書誌を作成しないように,親書誌リンクをする際には,当該レコードに子書誌がリンクされていないことを確認すること。
      • 著者名典拠,統一書名典拠へのリンク処理を行う機能を具備すること。

      リンクの形成はリンク元のレコードにリンク先のレコードのIDを記入することで 行う。
      リンク元のレコードをINSERT,UPDATEする前にSEARCH,SCANでリンク先のレコードを 検索し、リンク先のレコードのIDを取得する必要がある。
      また、相互参照になる"NAME<-->NAME","TITLE<-->TITLE"の参照の場合はリンク先の レコードをリンク元とし、リンク元をリンク先として、リンクを形成する必要がある ので、注意が必要である。
      以下にリンク形成の幾つかのパタンについて、手順例を示す。

      • BHOLD→BOOK,BHOLD→MEMBER
        BOOKへのリンクはBIDに、MEMBERへのリンクはFANOに記入する。
        INSERT時はリンクしたいBOOKのレコードをSEARCH,SCAN等で検索しておき、 IDを取得しておく、MEMBERについてはあらかじめリンク可能なレコードは ユーザIDによって決まっているので、あらかじめクライアントで値を 保持しておいて、その値を記入すればよい。
        1. 書誌レコードのID取得
        2. レコードの存在の確認
          登録しようとするレコードとFANO+BID+LOCが同一のものがあるとINSERTできないので、 確認する。この手順は取敢ずINSERTしてみて、エラーならば、INSERTではなく、UPDATE にするようにしてもよい。
        3. リンク先IDを記入してINSERT
        UPDATEの際は特にリンク先を変更する必要がない場合は、 取得したリンク先をそのまま使用してリンクを形成すればよい。

      • BOOK→BOOK
        BOOKからBOOKへのリンクの形成は図書レコードの書誌構造を表すものなので、 書誌構造的に矛盾を生じるようなリンクの形成を行ってはならない。
        リンク先レコードにPTBLグループが存在する場合は3階層の書誌構造リンクになって しまうのでリンクを形成してはならない。
        またリンク元が既に他のレコードのリンク先になっている場合も同様の理由で リンクを形成してはならない。リンク元が既に他のレコードのリンク先になって いないかどうかは、リンク元のIDでBOOK,RECONを検索対象ファイルとして 検索を行うことで確認可能である。
        リンク先のレコードを検索する場合は、_TITLE_という検索仮想フィールドが あるので、これを使用すると便利である。

      • BOOK→NAME
        リンク先のレコードを検索する場合は、_AUTH_という検索仮想フィールドが あるので、これを使用すると便利である。

      • TITLE←→TITLE
        このリンク形成は相互リンクなので、どちらのレコードからもリンクを形成 しなくてはならない。
        INSERTの際は、INSERTすべきレコードのIDはINSERTの終了まで不明なので、 INSERT終了後にresponseからIDを取得し、リンク先のレコードをUPDATEする 方法が効率的であろう。
        リンク先のレコードを検索する場合は、_UTHDNG_という検索仮想フィールドが あるので、これを使用すると便利である。

    9. リンクの参照

      形成されたリンクを参照するためには、各々の参照対象ファイルの特定のフィー ルドを検索し、レコードを取得することで行なう。以下に参照の種類別に検索 対象フィールドの一覧をあげる。

      リンク参照の種類検索元フィールド検索対象フィールド
      BHOLD-->BOOKBHOLD(BID)BOOK(ID)
      BHOLD-->RECONBHOLD(BID)RECON(ID)
      BHOLD-->MEMBERBHOLD(FANO)MEMBER(ID)
      SHOLD-->SERIALSHOLD(BID)SERIAL(ID)
      SHOLD-->MEMBERSHOLD(FANO)MEMBER(ID)
      BOOK-->BOOKBOOK(ID)BOOK(PID)
      BOOK-->BOOKBOOK(PID)BOOK(ID)
      BOOK-->RECONBOOK(ID)RECON(PID)
      BOOK-->RECONBOOK(PID)RECON(ID)
      BOOK-->NAMEBOOK(AID)NAME(ID)
      BOOK-->TITLEBOOL(UTID)TITLE(ID)
      BOOK-->BHOLDBOOK(ID)BHOLD(BID
      BOOK-->MEMBERBOOK(CRTFA,RNWFA)MEMBER(ID)
      RECON-->BOOKRECON(ID)BOOK(PID)
      RECON-->BOOKRECON(PID)BOOK(ID)
      RECON-->RECONRECON(ID)RECON(PID)
      RECON-->RECONRECON(PID)RECON(ID)
      RECON-->NAMERECON(AID)NAME(ID)
      RECON-->TITLERECON(UTID)TITLE(ID)
      RECON-->BHOLDRECON(ID)BHOLD(BID)
      SERIAL-->NAMESERIAL(AID)NAME(ID)
      SERIAL-->MEMBERSERIAL(CRTFA,RNWFA)MEMBER(ID)
      SERIAL-->SHOLDSERIAL(ID)SHOLD(BID)
      SERIAL-->CHANGESERIAL(FID)CHANGE(FID)
      NAME<-->NAMENAME(SAFID)NAME(ID)
      NAME<-->BOOKNAME(ID)BOOK(AID)
      NAME<-->SERIALNAME(ID)SERIAL(AID)
      NAME<-->MEMBERNAME(CRTFA,RNWFA)MEMBER(ID)
      TITLE<-->TITLETITLE(SAFID)TITLE(ID)
      TITLE<-->BOOKTITLE(ID)BOOK(UTID)
      TITLE<-->MEMBERTITLE(CRTFA,RNWFA)MEMBER(ID)

    10. 終了(handleの解放)
      作業を終了する場合、handleの開放を行わなくてはならない。 handleの開放はRELEASEHANDLEメソッドで行う。 handleは一定期間使用されなかった場合、handleの使用が終了したもの と判断され、自動的にhandleは開放される。 が、いたずらな高い負荷を招くので、 handleを使用しないことがあらかじめ分かっている場合、開放することが望ましい。

    目次に戻る

  6. 各ファイルの運用
    1. BOOKファイルの運用

      1. 可能なメソッド

        SEARCH,SCAN,RETRIEVE,INSERT,UPDATE,INDEXLIST

      2. INSERT,UPDATE時の重複レコード警告について

        重複レコードの可能性のあるレコードの場合、サーバは警告をresponseとして 返すので、利用者に確認を促すことが望ましい。

      3. レコードの削除

        BOOKにはDELETEメソッドは認められていない。従って、各図書館側では不要に なった書誌レコードについてはUPDATEメソッドで「削除予定レコード」に修正 する作業を行なう。実際のレコード削除は定期的にセンターで行なう。

    2. RECONファイルの運用

      1. 可能なメソッド

        SEARCH,RETRIEVE,SCAN,INDEXLIST,UPDATE

      2. BOOKとの関係

        RECONは形式上は参照ファイルであるが、実際には目録カードから遡及入力された、特定の図 書館のデータであり、所蔵もリンクされていることから、総合目録データベー スの一部とみなしている。このレコードを利用する場合は、必ず目録対象資料 の記載にしたがった、書誌の修正を行なうことが義務づけられている。修正されたレコードは一定時間毎にBOOKに移され、RECONファイルからは削除される。BOOKに移されてからは、他のBOOKレコードと同様に扱う。逆に、RECONにはINSERTが認められていないため、一旦BOOKに移したレコードをRECONに戻すことは出来ない。

      3. 所蔵登録時の注意

        RECONの書誌に所蔵を登録する場合は、あらかじめ書誌レコードをUPDATEして おかなければならない。例え、修正すべき事項がない場合でも同様である。こ の操作をすることによって、BOOKへのレコードの移動が行なわれる。RECONファ イルにレコードが残ったままだと、重複書誌の作成を招く場合がある。

      4. 書誌構造リンク作成時の注意

        BOOK→RECONのリンク作成は可能である。まず、BOOKから親書誌リンクを張る 際、RECONファイルに該当するレコードがヒットした場合は、修正事項がなくてもRECON のレコードに対し、UPDATEを行なうことが必要となる。修正された書誌がバッ チでBOOKファイルに移されるまで、BOOK→RECON間に書誌リンクが存在するこ ととなる。また、RECONのレコードからBOOKにリンクを張る場合は、RECON のレコードのUPDATEを伴うので問題はない。

        これらのことから、新規に書誌構造リンクを作成する際には、検索対象として BOOK,RECON双方のファイルを指定する必要がある。

      5. 書誌参照時の注意

        前述したように、所蔵登録、あるいは書誌構造リンクのため、一旦Updateされ たRECONのレコードはバッチでBOOKに移される。しかし、それまでの間にいくらかのタ イムラグが存在することは避けられない。したがって、BOOKからのLookup時、 また、RECONからのLookup時に検索対象をRECONも含めておくことが必要となる。 また、新規書誌登録にともなう検索時にもRECONファイルを必ず検索し、該当する書誌がUpdate済み(BOOKへの移動待ち)でないことを確認する必要がある。 また、Update済みでない場合に、この書誌を修正して登録するか、 他の参照ファイルを利用するかは目録作成者の判断による。

    3. SERIALファイルの運用

      1. 可能なメソッド

        SEARCH,SCAN,RETRIEVE,INSERT,UPDATE,INDEXLIST

      2. INSERT,UPDATE時の重複レコード警告について

        重複レコードの可能性のあるレコードの場合、サーバは警告をresponseとして 返すので、利用者に確認を促すことが望ましい。

      3. レコードの削除

        SERIALにはDELETEメソッドは認められていない。従って、各図書館側では不要に なった書誌レコードについてはUPDATEメソッドで「削除予定レコード」に修正 する作業を行なう。実際のレコード削除は定期的にセンターで行なう。

    4. BHOLD,SHOLDファイルの運用

      BHOLD,SHOLDのレコードはGETHANDLE時のIDによって指定できる FANOが限定されているので注意が必要である。
      更に指定可能なLOCがこの指定可能なFANOによって限定されるので注意が必要である。 指定可能なLOCはMEMBERファイルのLOCで確認できる。

      1. 可能なメソッド

        SEARCH,SCAN,RETRIEVE,INSERT,UPDATE,INDEXLIST,DELETE

      2. LOCについての注意

        新システムではNULL値をやりとりしないため、旧システムでLOCなし(空値)で 登録していたものは、新システムではCATP上、「@(1byte)」に置きかえてデー タの交換をする。データベース上は空値(NULL)のままである。クライアントか ら空値のLOCを含む所蔵レコードを送る際には、この文字に置きかえる必要が ある。サーバから送られた「@」については、表示の仕方等はクライアントの 判断にまかせる。空値についてこのような処理を行なうのは所蔵レコードの 「LOC」及び参加組織ファイルの「LOC」のみである。

        従来のシステムと併用する場合などには注意が必要である。

      3. INSERT時の注意

        指定可能なFANO,LOCでないレコードはINSERTはできない。 また、INSERT時にBID+FANO+LOCが同一のレコードが既に存在する場合は、 重複レコードとして登録できないので注意すること。

      4. UPDATE時の注意

        指定可能なFANOを持つレコード以外はUPDATEの対象レコードとして指定できない。 指定可能なFANO,LOCでないレコードにUPDATEはできない。 UPDATE時にBID+FANO+LOCが同一の他のレコードが既に存在する場合は 重複レコードとして登録できないので注意すること。

      5. DELETE時の注意

        指定可能なFANOを持つレコード以外はDELETEの対象レコードとして指定できない。

    目次に戻る

  7. 特定クライアントの留意点
  8.  新システムにおいては,クライアント作成に自由度を持たせており,従来のクライアントの他に機能を限定した目的別のクライアントシステムの作成も可能である。ただし,総合目録の共同分担目録の精神を具現するために,必ず1つは総合目録データベースを作成するためのクライアントを開発しなければならない。本ガイドラインでは,以下のようなクライアントを想定している。

    (1)総合目録データベース作成クライアント
    (2)所蔵自動登録クライアント
    (3)検索専用クライアント

    1. 総合目録データベース作成クライアントが具備すべき要件

       基本となるクライアントであり,書誌・所蔵・典拠レコードを登録するクラ イアント及び雑誌所蔵レコード修正専用クライアント等が想定される。現シス テムではサーバで行っているコマンドによる画面遷移やレコード間の書誌的な 整合性のチェック等をクライアント側で行う必要があるので,特に注意するこ と。具体的なチェックの内容については、本ガインドラインの「主なオペレー ション」の項を参照のこと。

    2. 所蔵自動登録クライアント

       あらかじめ検索値と所蔵レコードを用意しておき,登録作業はクライアントが自動的に行うシステムを想定している。

      1. 書誌の同定

        1. 所蔵を登録する際は,必ず総合目録データベースを検索し,ヒット件数が1件であることを確認すること。その際,2種類以上の検索を行って,いずれの場合もヒット件数が1件であることを確認することが望ましい。
        2. ヒット件数が複数の場合は,所蔵を登録してはならない。必ず,利用者に判断させること。

      2. 処理間隔と自動運転

        1. 自動登録は,人間の操作を想定して作成したサーバにとって,負荷の大きな処理である。したがって,各処理のサーバへの依頼間隔及び自動登録の1回当たりの総件数については,パラメータで変更することができるようにすること。
        2. 自動登録の負荷が大きい場合は,自動登録クライアントの利用時間を制限することを予定している。したがって,自動登録の開始はタイマー等で制御できるようにしておくことが望ましい。

      3. 書誌の自動登録の禁止

        1. いかなることがあっても,書誌の自動登録は認めない。

    3. 検索専用クライアント

       ローカル目録検索と総合目録データベースとのシームレスな検索システム等を想定している。

      1. 簡略表示

        1. ヒット件数が大きいときは,件数だけ表示する,あるいは一部だけ表示するなどして,不用意に大量データを回線上に流さないこと。

      2. ローカル目録検索と併用

        1. ローカルにヒットした場合は自動的に総合目録データベースを検索しないようにすること。
        2. 参照ファイルは,総合目録データベース作成を目的として使用するために導入しており,図書館利用者等へ公開した検索での使用は契約違反となるので,検索専用システムでは参照ファイルを検索対象としてはならない。

    目次に戻る

  9. 総合目録データベースの将来の変更予定及びその他の留意点
    1. 総合目録データベースの将来の変更予定

       また,新システムでは,現システムと比較して以下の諸点を変更することを予定している(ただし,変更の時期は未定である)。新クライアントの作成には,将来の変更をあらかじめ想定されることが望ましい。

      1. UCSコードの採用による多言語対応
      2. ドイツマーク等の参照ファイルの追加

    2. サーバの実装に関する注意点
      CATPで規定していないサーバの実装について規定する。

      1. CATPの下位プロトコルについて
        当面CATPは,HTTPプロトコルにおけるPOSTメソッドのオブジェクトボディ上に実装する。ただし,将来変更することもありえるので,あらかじめ想定しておくこと。

    3. 障害に対する留意点
      障害への対応を図る上で,以下の機能を具備することが望ましい。

      1. 通信トレース機能
    目次に戻る

  10. このガイドラインの入手法
  11.  以下の方法で本ガイドラインの最新版を提供する予定である。
    1. 目録情報課ホームページ:
      http://www.cat.op.nacsis.ac.jp/INFO/newcat/guideline.html
    2. 学術情報センター事業部目録情報課図書目録情報係:
      TEL: 03-3942-6983, 6984 FAX: 03-3944-7131