クライアントシステム作成のためのガイドライン

1996.8.2 作成

1. はじめに

 本ガイドラインは,学術情報センターが開発している新目録所在情報システム(以下,新システムと呼ぶ)を利用するためのクライアントシステムが準拠すべきガイドラインを規定する。  なお,本ガイドラインは暫定的なものであり,今後追加・修正されることがある。最新のガイドラインについては,随時公表していく予定である。

2.概論

 本ガイドラインが規定するものは,新システムで作成する総合目録データベースの品質を保持するためにクライアントシステムが具備すべき要件,及び,サーバシステムへのいたずらな高負荷をもたらさないためにクライアントシステムが具備すべき要件である。
 総合目録データベースの品質を保持するためには,以下の諸点に特に留意する必要がある。

(1)重複書誌を作らない
(2)センターの規定する作成基準から逸脱した書誌・所蔵レコードを作らない
(3)センターが規定する文字種以外の文字を使わない
 また,新システムでは,現システムと比較して以下の諸点を変更することを予定している(ただし,変更の時期は未定である)。新クライアントの作成には,将来の変更をあらかじめ想定されることが望ましい。

(1)和洋の区別の廃止
(2)VOLによる書誌の分割の廃止
(3)コードに対するコード値のレコード内への埋め込み(例:所蔵レコードの参加館略称等)
(4)UCSコードの採用による多言語対応
 さらに,障害への対応を図る上で,以下の機能を具備することが望ましい。

(1)回線トレース機能

3.想定するクライアントの種類

 新システムにおいては,クライアント作成に自由度を持たせており,従来のクライアントの他に機能を限定した目的別のクライアントシステムの作成も可能である。ただし,総合目録の共同分担目録の精神を具現するために,必ず1つは総合目録データベースを作成するためのクライアントを開発しなければならない。また,総合目録データベースや参照ファイルをローカルシステムにダウンロードするだけのクライアントは認めない。本ガイドラインでは,以下のようなクライアントを想定している。

(1)総合目録データベース作成クライアント
(2)所蔵自動登録クライアント
(3)検索専用クライアント

4.総合目録データベース作成クライアントが具備すべき要件

 基本となるクライアントであり,書誌・所蔵・典拠レコードを登録するクライアント及び雑誌所蔵レコード修正専用クライアント等が想定される。現システムではサーバで行っているコマンドによる画面遷移やレコード間の書誌的な整合性のチェック等をクライアント側で行う必要があるので,特に注意すること。

4.1レコード作成・修正

4.1.1 センターが規定する文字種以外の,機種固有の外字を使用しないこと。また,センターが規定する全ての文字種が表示・入力できること。
4.1.2 センターが規定する全てのフィールドデータを表示・入力・削除ができること。
4.1.3 各フィールドについてセンターが規定する長さ,個数の表示・入力ができること。

4.2書誌・典拠レコードの登録時のチェック

4.2.1 新規に書誌・典拠を登録する際は,必ず総合目録データベースを検索して目的とする書誌が総合目録データベースに登録されていないことを利用者に確認させること。
4.2.2 新規登録画面を出す場合は,必ず総合目録データベースの検索結果が0件であることをチェックすること。
4.2.3 総合目録データベースから流用入力する場合は,混乱を避けるため,参照ファイルからの流用入力とは別のコマンドあるいは操作を用意すること。

4.3書誌構造のチェック

4.3.1 親書誌がある場合,子書誌の登録の前に親書誌のリンク付けが終わっていることを確認すること。
4.3.2 3階層以上の書誌を作成しないように,親書誌リンクをする際には,当該レコードに子書誌がリンクされていないことを確認すること。
4.3.3 著者名典拠,統一書名典拠へのリンク処理を行う機能を具備すること。

4.4フレーム管理

4.4.1 検索結果の一時リストはフレームとしてサーバーで管理するが,フレームの生成・削除・呼び出しはクライアントで管理しなければならない。
4.4.2 フレームの実体はサーバのメモリ上に存在する。したがって,不要のフレームは直ちに削除すること。また,必要以上に大きなフレームは,利用者に絞り込を促しできるだけ小さなものにすること。

5.所蔵自動登録クライアント

 あらかじめ検索値と所蔵レコードを用意しておき,登録作業はクライアントが自動的に行うシステムを想定している。

5.1書誌の同定

5.1.1 所蔵を登録する際は,必ず総合目録データベースを検索し,ヒット件数が1件であることを確認すること。その際,2種類以上の検索を行って,いずれの場合もヒット件数が1件であることを確認することが望ましい。
5.1.2 ヒット件数が複数の場合は,所蔵を登録してはならない。必ず,利用者に判断させること。

5.2処理間隔と自動運転

5.2.1 自動登録は,人間の操作を想定して作成したサーバにとって,負荷の大きな処理である。したがって,各処理のサーバへの依頼間隔及び自動登録の1回当たりの総件数については,パラメータで変更することができるようにすること。
5.2.2 自動登録の負荷が大きい場合は,自動登録クライアントの利用時間を制限することを予定している。したがって,自動登録の開始はタイマー等で制御できるようにしておくことが望ましい。
5.3書誌の自動登録の禁止
5.3.1 いかなることがあっても,書誌の自動登録は認めない。

6.検索専用クライアント

 ローカル目録検索と総合目録データベースとのシームレスな検索システム等を想定している。なお,本項目は4項の総合目録データベース作成クライアントについても具備する必要がある。

6.1簡略表示

6.1.1 ビット件数が大きいときは,件数だけ表示する,あるいは一部だけ表示するなどして,不用意に大量データを回線上に流さないこと。

6.2ローカル目録検索と併用

6.2.1 ローカルにヒットした場合は自動的に総合目録データベースを検索しないようにすること。
6.2.2 参照ファイルは,総合目録データベース作成を目的として使用するために導入しており,一般検索での使用は契約違反となるので,検索専用システムでは参照ファイルを検索対象としてはならない。

7.サーバの実装に関する注意点

 CATPで規定していないサーバの実装について規定する。

7.1CATPの下位プロトコルについて

7.1.1 当面CATPは,HTTPプロトコルにおけるPOSTメソッドのオブジェクトボディ上に実装する。ただし,将来変更することもありえるので,あらかじめ想定しておくこと。

8.このガイドラインの入手法

 以下の方法で本ガイドラインの最新版を提供する予定である。
(1)目録情報課ホームページ:
http://www.cat.op.nacsis.ac.jp/INFO/newcat/guideline.html
(2)学術情報センター事業部目録情報課図書目録情報係:
TEL: 03-3942-6983, 6984 FAX: 03-3944-7131